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読み始めたら止まらない ! 大河解説ロマン ガラスの改稿 狼少女ジェーン 17 嵐の開演初日編 2 |
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〜 ガラスのように もろく壊れやすいシナリオ ひとはみな素顔を隠して それをえがく 〜 |
第11章 紫の影 18 狼少女ジェーン 17 嵐の開演初日編 2 |
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2006/06/10 作成 06/06/16 微修正
あらすじ
いよいよ「忘れられた荒野」の上演初日となったが、台風の接近で交通機関は乱れ、 市バスは運休し、道路も各所で封鎖されてしまった。
開演時間になっても来場者は無く、上演中止の公算が濃厚になる中、速水真澄は ずぶ濡れになりながらも嵐を衝いて徒歩で雨月会館に来場した。
マヤは、真澄の行動をいぶかしみつつもジェーンの衣装を身に纏い、黒沼龍三を はじめ素人役者たちの意気揚がる中、ついに初日の幕は上がった。
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花とゆめ1985年19号(連載218回)
真っ黒に塗り潰されたコマ ベタフラッシュモノローグ ※ (わからない・・・!) (速水さん あたしはあなたがわからない・・・!)
座席の真澄(ロングショット) 周囲の客席と背景の劇場の壁面は網掛け (真澄は白抜き) (こんな台風の日になぜやってきてくれたのですか 芝居を観に・・・・・・ !) ←フラッシュ
真っ黒に塗り潰されたコマ ベタフラッシュモノローグ ※ (あたしとの約束を守るため・・・?) (そんなにずぶぬれになってまで・・・?) (憎んでいるはずのあたしのために・・・?)
天井 (照明機材が4つの内2つ点灯し、いろんな方向を向いて吊り下がっている) (なぜですか? 速水さん) (なぜ・・・?)
※この冒頭のベタ背景の中央に真澄のコマがカットインする形のコマ割りです。 この場面の真澄のコマにもコートが描き忘れられています。 ・・・(^_^;)
例によってこのページの最下段はこれまでのあらすじ紹介コーナーです。 また、冒頭1ページはたいていは前回の流れを受けて描かれるものなので台詞回しそのものが 前回ラストの“引き”に対応する“アオリ”にもなっています。 ──────────────────────────────────────── |
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檻の中の白目で睨むジェーンのアップ メラメラ背景 うーーーー ううーー
舞台右手に立つスチュワート 中央に檻の中のジェーンとそれを取り巻く客の男女7名 左手には 2段積みのブロックに腰掛けたビクトール男爵 隣に立つ客の男性 (舞台全景の水平描写) 「おおっ! これが狼少女かね スチュワート」 「まあ ごらんあそばせ なんてどうもうそうな顔をしていますこと」 うーーーーーー 「かみつきませんの?」 「ちかよるとあぶないぞ」 「人間の姿をしていても狼だからな」 「生肉しか食べないというのはほんとうですか?」
白目ジェーンの横顔 ※ (でも・・・!) (客席にいるあなたは観客・・・) (たったひとりの観客・・・・・・!) (みていてください あたしの演技を最後まで・・・ !)
髪から水が滴り落ちる真澄の姿 ややアオリ フラッシュモノローグ (速水さん・・・!)
※のコマのマヤのモノローグはフキダシのない心情描写ですが便宜上モノローグはすべて( ) で括って表現しています。 まんがの表現手法はフキダシの形やその有無までがキャラクターの心理表現になっている ので、こうして文字だけですべてを伝えるのはもともと不可能なのですが・・・(^_^;) ──────────────────────────────────────── |
←炎がメラメラって感じの背景 ・・・(^_^;) |
右奥に片眼鏡で立派な口ひげのストライプスーツを着たビクトール男爵 手にしたステッキの頭で 右手前のジェーンの檻を叩きつつ・・・ 吠えるジェーン 左最奥に振り向くスチュワート 汗一滴 「きみの(●●●)人類学ではこの少女は教育しだいで人間になれるというのだね?」 ゴン ガウ 「ええ 人間が本来もっている機能は人間社会の中ではじめて生かされるものです」 「この少女は狼の社会にいたばかりにそれを生かすことができなかっただけです」
スチュワート 少し怒った表情で・・・ アオリのアップ 「男爵の動物学(●●●●●●)ではいったん野生の動物として育ったものは けっして人間にもどることはないというご意見でしたね」 「ですがぼくは教育しだいで 人間としての正常な機能をとりもどすことができるはずだと考えています」
ビクトール男爵 あざ笑う表情で・・・ アップ 「スチュワートくん 人類はこの動物界において特別な生き物なんかではないのだよ」 「人間社会の中にあってはじめて人類は“人間”になるのだよ」 「人間社会の中でそれに適応できるように知能が発達していくからだ」 「しかも3歳までにその訓練がなされなければそれはむずかしい」
左手にステッキ、右手で指差しつつ語る男爵 後方にはこの場の客たち 「生まれてすぐ与えられた環境 育った環境が そのものを動物にするか人間にするか決定するのだ」 「赤ん坊のときから野生の狼の群れの中で育った以上この子はもう人間にはならんよ」 「人間の形をした狼として一生を終わる事だろう」
ビクトール男爵のアップはコミックスでは描かれていないので容貌と服装を記述しました。 なお、このページの柱には・・・ おわび 美内先生の事情により減ページさせて頂きました。 ・・・というものがあります・・・(^_^;) ──────────────────────────────────────── |
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右手にスチュワート立ち姿 左にタイヤの山2つ やや俯瞰構図 「男爵 ぼくの意見はかわりません」 「根気よく年月かけて教育すれば この少女の人間としての機能を回復させることは可能だと思っています」
顧みる皮肉っぽい表情のビクトール男爵 ※ スチュワートを中心に2コマまたぎでフラッシュ放射線の背景 「そうすることがこの少女にとって幸せなことだと思うのかね スチュワートくん」
! 隣のコマにびっくり顔のスチュワート
中央に追いすがるスチュワート 右手前に左手を上げて歩き去るビクトール男爵 スチュワートの 後ろに檻の中のジェーン(シルエット) 最も後方に客たち 背景は幾筋もの照明の光線 「も もちろんです」 「人間は人間として生きるのが幸せにきまっているじゃありませんか・・・ !」 ははは 「その子は人間ではない」 「狼だよ スチュワートくん」 「それではみなさん失敬」 「その子のためにもきみの理論が正しいと実証されることを祈っているよ」
胸に左手を当て右こぶしを握った大口開きのスチュワート乗り出し姿勢で・・・ 放射線背景 「ビクトール男爵」「ぼくはきっとこの少女を人間にしてみせる !」 「きっとだ!」
右奥に友人ロバート(役のアシキャラ・・・^^;) 左手前に軽く青筋の頬汗スチュワート アップ 「ビクトール男爵に勝てる自信はあるのかい? スチュワート」 「きみのやろうとしていることは彼の学会での意見に真っ向から反対することだからな」 「きみは彼に挑戦したも同じことだぞ」
※檻、ビクトール男爵、スチュワート、客の順で並んでいる配置ですから男爵がスチュワートに 向かって語るときは振り返りポーズが自然になるので、あえてコマを割る必要は無いようにも 思うのですが、この場面のふたりの表情は印象的です。 (スチュワートの袖はコマをまたいでいないのに、キャラ絵の大きさの比率が違う両コマの背景の 放射線は2コマまたぎなのでこれもナゾ絵っぽいかも・・・^^;)
稽古時のロバートはド派手なロック系のロングパーマヘアで濃い顔つきでしたが、かつらと衣装 を身にまとった今回の彼はまるで別人のように役に染まっておとなしくなっています。 ・・・(^_^;)? これって単にアシスタントさんが描いたキャラだから顔が違ってるだけじゃんっ !! ・・・ヽ(`д´ミ)/ ──────────────────────────────────────── |
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右手前にメモを取るアーネスト・ウォルター記者(バイク男) 舞台後方にこの場の客の伯爵夫人、 銀行家、鉄道家、市長の座を狙うワイラーさん、他一名たち 少し離れて伯爵令嬢 中央の床に 檻がありその中にはうなるジェーン 檻の左にしゃがんで中を覗き込む医者(塾の講師) 「ほー! 若き人類学者スチュワート・ローリー氏と 動物学の権威ビクトール男爵 狼少女の“野生”をめぐって対立 !」 「これはいい記事になる」 「学問上どちらの意見が正しいのかわたしにはわからないけれども この子がレディになるなんてことがあるのかしらねえ」 ううーー-・ (ジェーンは医者を威嚇しています・・・^^;) 「この子を診るのはいいが かみつかれませんかな?」
右手にやや不安顔のエレン 左手に微笑スチュワート 向かい合って・・・ 「スチュワート あなたが学会で有名になってくれるのはうれしいけど無理はしないでね」 「ありがとうエレン」 「研究に夢中になりすぎてわたしのことを忘れないで」
赤ら顔の引きつった表情で踏ん張るポーズで叫ぶコルベール神父 「この少女に神の御加護がありますように・・・・・・ !」 「アーメン!」
ふと・・・ 笑みがこぼれる 水の滴る真澄 ややアオリ(舞台上から見たイメージ?) クス・・・ 「ははは」
ふと・・・ 頬汗つるはし男(コルベール) 店員(アン) 講師(医者) バイク男(記者) *
右から寄り眼頬汗つるはし男 目が点頬汗婦長 眼に線頬汗バイク男 アップ 破線のフキダシ 「おおい 笑ったぜ あのひとが・・・!」 「大都芸能のなんだかエライ人なんでしょ?」 「よ・・・よし がんばろうぜ・・・!」
*印以下のコマのキャラたちは一様に鼻のあたりに赤みを示す斜線が軽く入っています。 ──────────────────────────────────────── |
破線のフキダシというのは点々 で描かれたフキダシです。 顔を寄せ合ってひそひそ話の 雰囲気です。 ・・・(^_^;)
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舞台袖の垂れ幕 (右側) (速水さん) (あんたがどんなつもりでこの台風の中きてくれたかしらんが感謝するぜ)
顔の中心に赤みの差した黒沼龍三 汗一滴(うれしげ) 後方左右に助手一名ずつ (たったひとりでも観客は観客だ・・・!) (それもとびきり上等のな・・・!)
舞台袖の垂れ幕 (左側) と左の助手の左半身 (あんたのおかげでみんなのやる気が失われずにすんだ・・・) ・・・この3コマは横並びで、単にモノローグの整理のためにコマを割っただけです。・・・(^_^;)
座席でひざを組む真澄の横姿(全身) 周囲は座席が遠近法で並んでいる 背景は場内側面の壁 「頭をおさえてろ! かみつくぞ!」 「もっと背中を洗うんだ!」 ギャオーーーン オオーーーン 「どうだいバトリー夫人 あの子は」 「どうもこうも・・・!」 「狼には入浴の習慣がないってことすっかり忘れてましたわ」 「ちょっとやそっとではとれませんね あの垢は」 「殻ですわよ まるで」
自分の左手でジェーンの手の状態を作ってそれを右手で指差しつつ説明する医者 汗一滴 「あの子を人間の仲間にするのはなかなか根気がいりそうだな スチュワート」 「手のひらの内側と指の第2関節の皮膚が硬くなって角質化しとる」 「ちょうど足の裏のようにな」 「それからひざもだ」
左手首をそれと見立てて右手で指差した手の部分のアップ 「まず脚だがひざを伸ばすことができん」 「ずっと曲げたままだったのでその部分の筋肉が収縮しとるのだ」 ──────────────────────────────────────── |
通し稽古編にもこの場面があり ますが、医者のポーズや姿勢は 違っているので、絵を使い回して いるわけではありません・・・(^_^;) |
医者 前にかがんだ姿勢で右手の平で自分の右ひざを叩きつつ・・・ 俯瞰 「ということはつまりひざに体重をかけることができない」 「2本足で立てないわけだ」
左手は握り右手は開いたポーズで説明する頬汗しかめっ面の医者 「それから両手はずっと握りしめたままだったとみえて開閉することができん」 「ものもつかめん」 「5本の指がバラバラに動くということもしらん」
空白コマ 「全身の筋肉がよくほぐれるよう 根気よくマッサージしてやるんだな」 「それしかない」
飛び込んできたジェーンの両前足と左ひざ ダッ
白目ジェーンの吠える横顔のアップ ガウ ガーーー
床でスカートの裾を噛んでいるジェーン 全身 ややアップ (このジェーンは黒目^^;) グルル ガウウ・・ 同じコマでバスタオルと鋏を手にしたバトリー夫人 と腕組みしたスチュワート やや俯瞰 「無理やり服を着せたものですから怒っているんですわ」 「みちがえたよ ジェーン」「きみは美人になるぞ」 「いずれレディとしての行儀を覚えてもらうさ」 ──────────────────────────────────────── |
鋏はジェーンのライオンのたて がみのような髪を切るのに使っ たものと見られます。 こういう部分の描写の細かさ はさすがですね ・・・(^_^;) |
スチュワートの肩を指先でつつく医者 ふと・・・そちらへ顔を向けるスチュワート 「スチュワート きみのそのレディにこの駆虫剤を飲ませてあげたまえ」 トントン 「腹の中に相当虫がいるようだ」
笑顔の真澄の横顔 ややアップ (髪はまだびしょ濡れ) 「ははは」
舞台袖の垂れ幕から覗く役者たち (つるはし男、バイク男、雑魚キャラ、カオナシ数名) つ: 「うけてるぞ おい・・・!」 バ: 「あ ああ・・・!」
天井 「1931年9月10日」 「ジェーンの狼としての生体リズムをくずすことから始める」 「朝7時に起床」 「食事 いつもの半分量の生肉と水」 「口をつけないが1時間で食事をさげる」 「ジェーンは眠そうである」
ペンとバインダーを持ったスチュワートの立ち姿 (背景のブロックとタイヤは下と2コマまたぎ) 「午後12時 昼食」 「朝食と同分量の生肉と水」 「コップ1杯分のミルク」
床の皿から食べているジェーン 一連の背景(スチュワートは右手前ジェーンは左奥) 115p-3* 「出して30分後に生肉をたいらげる」 「水は少々」 「ミルクは匂いをかいだのち2口ほどなめる」 「1時間後に食器はさげる」 「昼の間はうつらうつらして眠そうである」
客席の真澄 (ロングショットなので鼻筋の線しか描かれていません) 周囲は網掛け 115p-4※
*コミックスでは縦長の5コマを横に並べて構成されたページですが、連載時原稿のコマ割とは まったく違います。 このコマ割りの中にジェーンの絵のみを移植していますが、背景は新たに 描いたものです。(連載時原稿ではコマの寸法はページの下半分の高さでした) ※このコマも上と同様に違った形のコマなんですが手前の座席と天井を加筆して移植しています。 ここでも連載時原稿では真澄の席の前列の背もたれにあるべきコートが描き忘れられていました が、コミックスでは加筆修正しています。・・・(^_^;) なお、コミックスのこのページでの1,2,5コマは素人役者たちの演技場面をカットして話を短縮 しているので、ストーリーの構成上新規に描いたものです。 ──────────────────────────────────────── |
カオナシというのは顔に表情を 示す目や口すら描かれておらず 輪郭線と顔の向いた方向を表す ための十字線しかない人物。 → その他大勢のキャラ。 「千と千尋の神隠し」のキャラの 事ではありません。 ・・・(^o^;) 一方、雑魚キャラは目鼻ぐらい は描かれている。 ・・・(^_^;)
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うつろな表情でマリに右前足をかけるジェーン 「遊び道具にマリを投げいれる」 「少し関心を示すが動きは緩慢である」
真澄 シャツの襟の先から水滴が落ちている (ややロングショット) 「排便排尿のしつけがないのでオムツをつけさせたが気持ち悪そうである」 グルル
髪とシャツの濡れた真澄 ややアップ 前髪からは水滴 「体にさわるとすると唸り声をあげて威嚇する」 (さわろうとすると・・・の意では・・・ !?・・^_^;) うおーーん
右奥にハッとして及び腰のジョンとアン 左手前にジェーンの横顔 「掃除にやってきた召使のジョンとアンをみてほえる」 わおーーん おーーん
「午後4時空腹と喉の乾きを覚えているらしいががまんさせる」 (乾き?渇きでは !?・・・(^_^;) ふと・・・ 客席に視線をやるスチュワート
真澄の落ち着いた表情の大アップ 髪には水滴多数 落ちる水滴に八方放射の光 ベタ背景 ──────────────────────────────────────── |
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コマの右に座席の真澄の姿 視線はずれている やや俯瞰 (サクラコージの視点からの絵) 同じコマでサクラコージのいぶかしむ表情のアップ アオリ (このアップの左側はベタ背景) (速水さん・・・?) (マヤちゃんをみている・・・?) (そういえばさっきからずっと・・・?) このモノローグのみベタ抜きの表現
ビル街に吹く強風 幟旗(のぼりばた)やゴミ箱のふたが宙を舞っている ゴオオ--・
強風が吹きつける雨月会館正面入り口の外観 アオリ ザアアー・
スクリーントーン背景に一筋のライト 「10月1日 ビスケットをやる」 「匂いをかいだのち食べる」
床に置かれたステーキの乗った皿 「はじめて味つけした肉を出す」 「なめただけで食べず」 「塩味をきらう」 ──────────────────────────────────────── |
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このページはコミックス116pにそのまま採用されています。
ページの右上から中ほどにかけて 真っ黒背景にジェーンの横顔アップ (このベタ背景は右下に 向かって徐々に薄くなるグラデーション) 左上には 古タイヤの箪笥に前足を乗せて吠えるジェーン 「窓の外の鳥にむかって吠える」 オオーーー オオーーウ
左中段 ブロックに腰掛けてラジオを鳴らすスチュワート その目前の床には吠えるジェーン 「ラジオに驚く」 「音楽をうるさがる」 「音感をもたない」
右下段 豪華な木枠の向こうから吠える四つ這いのジェーン 「鏡に関心をもつ」 「自分にむかって吠える」 がうう・・
左下段 バインダーに記入しているスチュワート 奥には枠に化粧を施した屏風型の衝立 「入浴は3日に1度だがジェーンには拷問に感じられるらしい」 ギャオーーン オオーーン 「体にさわろうとすると怒って暴れる」「マッサージは不可能」 |
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 冒頭のページにおわびがありましたが、柱言葉も無く突然この回は終わります。 明らかにストーリーの途中ですが、このコンテンツもひとまずここでおしまいです。・・・(^_^;)
突然終わっているので次回への“引き”もありませんが、「ガラスの仮面」には時折こうした回が あるのでさほど珍しい事ではありません。
この号で特筆すべき情報は、扉の絵に描かれた『紅天女』の演技場面です。 梅の木々のほとりに打ち掛けを被って立つ阿古夜とその足元に烏帽子姿で地面に座っている (のけぞっているようなポーズ)一真(かも・・・?)の場面が俯瞰構図で描かれています。 キャラの顔は鼻筋しか描かれていないのでキャストは不明です。 扉絵のほとんどはマヤの表情のアップなのでその背景の片隅に描かれた小さなカットに過ぎま せんが、『紅天女』の一シーンが具体的に描かれたのは初めてです。 マヤのアップの表情は『紅天女』の芝居に心奪われながらそれを眺めているような風情です。
本編から改稿でカットされたのは主に芝居序盤の重要なエピソードであるスチュワートとビクトール 男爵の会話シーンの一部と、真澄が観客として素人役者たちの演技に反応して笑いを洩らす場面、 そして真澄の視線がマヤのみに向いている事をサクラコージが気にし始める場面です。
そのうち、スチュワートと男爵の議論場面の前半は通し稽古(30巻終盤)でも採用されましたし、 本公演(32巻後半)でも描かれていますので「忘れられた荒野」の導入として、はずせない部分 なのだと思います。 一方今回の連載時原稿で描かれた両者の意見の対立や“賭け”の部分はどちらも物語の本筋 では無い為か、かなり短縮やカットされています。
「忘れられた荒野」の演技場面は脇役たちに限らずマヤやサクラコージのような主要なキャストの 場面でさえもコミックス化の際にはこのサイトで今までに検証した「黒沼龍三登場編」、「稽古編」、 「通し稽古編1」、「通し稽古編2」、「速水英介の思惑編」などでも一部を除いて大幅にカットされて いますので、劇中劇のシーンを短縮する事が改稿の基本方針になっているのでしょう。
しかし、すでに31巻は発売されているわけですからこの号の連載時点では上記の演技シーンは すべて再構成済みにかかわらず、前号とこの号には物語冒頭の男爵とスチュワートの議論から 始まって、素人役者たちが絡む主要なエピソードはもれなく盛り込まれているので、この事から 考えると劇の公演本編では「ふたりの王女」同様に稽古中にカットされた場面も含めて、劇中劇 そのものもかなりのウエイトで描く予定だったと思います。
32巻の初版発行日は1986年6月25日ですからこの号の発行日1985年9月20日から9ヶ月後 の事になります。 (28巻が84年3月24日、29巻が84年8月22日、30巻が85年2月25日、31巻が85年8月25日) 見比べていただくとコミックスの発行ペースもそれまでは半年に1冊ペースでしたが、32巻は 11ヶ月空いたということでより長くなっている事がお分かりいただけると思います。
1976年1号の連載開始から美内先生は精力的に連載を続けておられ、76年、77年、78年には 休載各1回、79年は2回、80年に1回、81年に2回、82年に2回、83年に2回、84年にはテレビ アニメ化があっても4回、という風に常に花とゆめの看板であったわけですが、85年の22号から 翌86年の3号まで取材の為ということで6回(3ヶ月)の連続休載がありました。 (なお85年の休載は合計4回、86年が第12章『紅天女』のスタート前にも休載が6回あったので 合計9回、87年は4回、88年は11回、89年に9回、90年に7回、91年に4回、92年の4号以降は 2年間の休載という具合で、段々状況は悪化していくのです・・・(T_T)・・・)
この休載期間と休載中になされた全体構成の変更が改稿に大きく影響した事は明らかです。 従って、32巻以降の改稿は31巻までの改稿の傾向とはまた違った事情があったはずです。 この辺の事情は以前も少し述べていましたが、「忘れられた荒野」の改稿にはストーリーの短縮 とコミックスにおける本公演開幕までの内容秘匿以外に他の意図が明確にあるという事です。
ストーリー展開をマヤと真澄の物語に集約していく傾向は「紫の影の章」全体を通じた特徴ですが 脇役の演技場面での真澄の反応をもカットするのですからかなり徹底していると思います。 ・・・ページ数は少ないので短縮の効果は薄いはずです・・・(^_^;)
一方で、背もたれのスーツなどの細かい部分は連載時原稿での描き忘れをコミックスで加筆修正 しているわけですから、ただ単純にストーリーを短縮しているだけではないことが明らかです。
その部分の検証はもう少し先になりますので、もうしばらくお付き合いください。 <(_ _)>
この号で真澄のマヤを見る視線にただならぬものを感じたサクラコージの“気付き”が本来ならもう 少し具体的に描かれる予定だったと思いますが、今回は“美内先生の事情”により中断した為 次号の冒頭部分も含めて検証しなければはっきりとはいえません。
いささか消化不良な面はありますが、今回はこれにておしまいです。
では、ごきげんよう。 (^-^)/~~~
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<= ガラスの改稿の裏話です コメントなどのカキコもどうぞ !! (^_-)-☆ 次のページ作成の進行状況や次回予告などを書くこともあります。 |
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”かぜ”の作成したサイト内横断リンク集 |
作成日 |
最終更新日と更新内容 |
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改稿 ・ 未刊行解説以外の ペ │ ジ も い ろいろ あ る よ !
見 て ね !
(^^) |
第11章 紫の影 4 狼少女ジェーン 3 通し稽古編 1 へ 第11章 紫の影 5 狼少女ジェーン 4 通し稽古編 2 へ 第11章 紫の影 7 狼少女ジェーン 6 ミルキーウエイ編へ 第11章 紫の影 8 狼少女ジェーン 7 速水真澄の陰謀編へ 第11章 紫の影 9 狼少女ジェーン 8 姫川亜弓の活躍編へ 第11章 紫の影 10 狼少女ジェーン 9 速水英介の思惑編へ 第11章 紫の影 11 狼少女ジェーン 10 野生の狼少女編へ 第11章 紫の影 12 狼少女ジェーン 11 『イサドラ!』の楽屋編へ 第11章 紫の影 13 狼少女ジェーン 12 ロビーの波乱前編へ 第11章 紫の影 14 狼少女ジェーン 13 ロビーの波乱後編へ 第11章 紫の影 15 狼少女ジェーン 14 紫のバラと万年筆編へ 第11章 紫の影 16 狼少女ジェーン 15 開演前日の風雲編へ 第11章 紫の影 17 狼少女ジェーン 16 嵐の開演初日編 1へ 第11章 紫の影 18 狼少女ジェーン 17 嵐の開演初日編 2へ 第11章 紫の影 19 狼少女ジェーン 18 嵐の開演初日編 3へ 第11章 紫の影 20 狼少女ジェーン 19 嵐の開演初日編 4へ 第11章 紫の影 謎の番外編 ─ガラスの仮面通信─ 1〜6へ 第11章 紫の影 21 狼少女ジェーン 20 上演2、3日目編 へ かぜのキャラクター紹介のページへ キャラのイラスト募集中 !! |
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12/02/22 コンテンツ全体の修正 06/04/13 背景とレイアウトの変更
06/04/29 「 キエカナ」 へのリンク追加 06/05/08 屋台場面の注釈を追記 06/04/12 背景とレイアウトの変更 06/04/06 画像のレイアウト変更 06/04/12 記述の追加とレイアウトの修正 06/05/01 「 キエカナ」 へのリンク追加 06/04/12 レイアウトの変更 06/04/12 新事実の追記二件と全体修正 06/04/17 内部リンクの追加 06/04/14 注釈の追記と情景描写の修正 06/04/17 内部リンクの追加 06/05/01 コンテンツ名変更 06/06/03 若干の注釈追記と微修正 06/06/16 若干の解説・注釈の追記と修正 06/06/16 更新 記述の追記と修正 06/06/16 解説・注釈の追記と記述の修正 06/06/16 解説・注釈の追記と記述の修正
06/08/28 追記と修正 12/01/13 更新 記事の追記 06/06/07 カラーも含む画像2枚 up
新コンテンツ作成ごとに随時更新中 必要に応じて随時加筆 2012/02/21 新規サイトを仲間に追加 (^^) ついに作家デビュー !! 作家デビュー2作目 !! 最新のコンテンツ |