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読み始めたら止まらない  大河解説ロマン  ガラスの改稿  狼少女ジェーン 3 通し稽古編 パート1

〜  ガラスのように もろくこわれやすいシナリオ 人はみな素顔を隠して それをえがく   〜

第11章 紫の影 4 狼少女ジェーン 3 通し稽古編 パート1   

 も く じ

2006/02/04 up   06/04/12 更新 レイアウト変更  

 

あらすじ

 

事務所の方針と対立する黒沼龍三は一般公募で集めた素人8名を

即戦力とすべく、いきなり通し稽古を始めると宣言した。

ひどく酔いながらもこの芝居でなにがなんでも賞をとると言う黒沼。

 

おりしも同じ事務所の芝居で芸術祭の参加を巡って争う事になった

『イサドラ』のヒロイン円城寺まどかが稽古の見物にやってきた。

 

果たして黒沼の思惑は? 未経験の素人達は演技ができるのか?

今、長きに渡って封印された物語の内容が明らかになる・・・ !?

 

 

21号

 

22号

 

23号

 

かぜの迷宮

 

 

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花とゆめ1984年21号

 

顔真っ赤な黒沼                     143p−3(絵は描き替え)マヤは加筆

「ではこれから通し稽古にはいる

ヒック

「第一幕第一場 スチュワートの書斎

「位置について

 

丸めた台本を役者たちにむけて振り回して指示しつつ           143p-2

おまえらさがれー

「出まちの役者は全員壁ぎわによってろ

「わっ

────────────────────────────────────────

ここから145p-2まではコミックスと同じなので省略、3コマ目からやや違います。

 

黒沼とまどか

「いいか 円城寺さん」

「最後までそこを動くんじゃないぜ」  ヒク

 

汗一滴たらしのまどかと付き添いの男

「ええ 存分に見物させていただくわ」

「なにしろ鬼才黒沼龍三先生の芝居ですものね」

「それにこんな通し稽古はめったにみられませんわ」

                    (これらのセリフは146p-2に移植していますが絵は描き替え)

────────────────────────────────────────

従ってコミックス145-3,4,5は改稿です。  

 

汗一筋まどか アオリ気味のアップで

(フン 酔っぱらいが・・・)

(ろくに稽古もできてない素人を使っての芝居なんか まともにつきあっちゃいられないわ)

 

壁のスイッチに手を掛ける黒沼

「おい ジェーン 闇のなかの遠吠え行くぞ」

「用意はいいな!!

 

マヤ正面

「はい・・・

 

黒沼の手のアップ                           147p-1  コマ拡大

バチ

 

バッ                                         147p-2

暗闇に立つ役者たち

「わっ

────────────────────────────────────────

人影の向こうに窓                                148p

ゴーーー ガタンガタンガタン

 

同じ情景で引いたカット

ゴーーー   カンカンカン

 

壁ぎわの人々の後ろまで引いたカット(部屋全体の情景)

シーーン

────────────────────────────────────────

サクラコージ                                    146p-1

通し稽古だって?

どんな演技をしていいかわからないという素人が8人もいるというのに

黒沼先生はいったい何を考えているんだ・・・

 

サクラコージの浮かべる黒沼のイメージ

(賞をとるんだ・・・

なにがあったんだ いったい・・・ !?

 

まどか 左半顔の大アップ 

クッ・・・

────────────────────────────────────────

マヤ 縦割りの2コマまたぎ                           149p

(ジェーン・・・)

(狼少女ジェーンを通してやれるのね)

 

(ジェーン)

(あたしはジェーン・・・

 

黒沼の腕のアップ

バチッ

 

しゃがみこむマヤ

スッ

                     (この2ページはすべて縦のコマ割りです)

────────────────────────────────────────

150p、151pのジェーンの最初の咆哮は同じです。(152pはコミックスでの加筆)

153p(ビクトール男爵のセリフ)から156p-1(スチュワートの質問)までは全く同じ。

以下のセリフは156p-2に集約している。

 

男爵 後方に助手             

「ふむ・・・」

 

窓と壁ぎわの役者たち

ゴーー ガタンガタン

「その少女についての詳しい報告をしてくれるかねスチュワートくん」

 

壁のスイッチを押す指

カチ

       (連載時原稿のこのページ左側はLa La 12月号の広告)

────────────────────────────────────────

156p-4

156p-3

 

スチュワート 俯瞰                  (このセリフは156p-4に収録)

「1928年9月14日 カルパチアの山奥で

 狼の群れの中に4つ足で歩く裸の2人の少女が発見されました」

 

村人役

「お おい 出番だぞ」

「ああ」

 

黒沼の指

パチン

 

走るジェーン                               157p-2

ウオオーーン

オオーーン

────────────────────────────────────────

マヤのアップ

オオ・・・ン

 

ここからコミックス157p-3(村人3名)以降と同じ (最下段の笑い声は文字に塗りを加筆)

158pは同じで159p-1も同じだが159-2からやや変更。

 

まどか 青筋左目のアップ                 159p-2 まどかは描き替え

 

ジェーン 横顔                       159p-2 (次コマのセリフを集約)

 

コマの右にまどか横顔 左奥に煙が上がっている

(おどろいたわ なんて身のこなしなの この子・・・)

「狼っ子の首をしめるな 死んじまうぞ

「おさえろ

 

輪になる村人 手前スチュワート

「信じられねえ 狼が人間の子を育てていたなんて」

「赤ん坊の頃から それも姉妹でよ」

わいわい がやがや

「村人たちにつかまえられ その後の調べで6年前 

 森で行方不明になった農家の若夫婦の娘達とわかりました」

────────────────────────────────────────

黒沼の指のアップ

パチン

 

159p-3(見世物小屋の男)から160pまで同じ

 

161p-1 ポカーンとする役者たちは描き替え

 

青筋頬汗のまどか

 

バイク男

はあはあ

────────────────────────────────────────

素人役者たち 手前に横顔のバイク男     (このページはカット)

「よかったぞ おい

「めちゃめちゃだけど 迫力あったぞ

「そ・・・そうかァ」

 

突き上げた握りこぶし4本のアップ

「ようし つぎいこう

おーーっ

 

まどか 青筋頬汗の目元のアップ

(不思議だわ・・・)

(演技なんてめちゃめちゃなのに この芝居・・・)

 

まどか 青筋頬汗の上半身のアップ

(なんだか目がはなせない・・・)

(ひきつけられる・・・)

(こんなバカな・・・

────────────────────────────────────────

というわけで161p-3は描き替えです。

 

柱言葉   素人たちの通し稽古が進められる。

なぜか芝居にひきつけられていく円城寺まどか。黒沼の演出とは   ・・・でした。

 

21号

 

 

 

 

 

 

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

この号の改稿は主にコマの配置換えとセリフの集約により、無くなっても差し支えないコマを

カットした点が中心で、ストーリー上のカットはほぼありません。

 

まどかが観に来た動機とそこまでのいきさつが違うので多少ニュアンスの違いはありますが

全体の流れはコミックスと大差ありません。

 

22号は161p-4まどかの目元のアップから始まります。

21号のラストページとセリフが重なるのでコミックスでは22号の冒頭が採用されたわけです。

またこの後コミックスでは真澄と詩織のデート場面になりますが、連載時原稿では引き続き

通し稽古場面ですので174pからになります。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

真っ赤な黒沼のアップ                     174p-1 電車のカットに差し替え

ヒック・・・

 

四角い枠の書き文字からスチュワート俯瞰のセリフは同じですが、ページ最後の書き文字は

次ページがカットされた事によるコミックスでの加筆。

────────────────────────────────────────

スチュワート横顔アップ

「やがて1年がすぎた頃 2人はすっかり衰弱して

 見世物として使いものにならないほどだったといいます」

「そして巡業先の北イタリアの小さな村で

 見かねた牧師がなけなしの金を払って見世物小屋の男から2人をひきとりました」

 

衝立の向こうの狼姉妹のシルエット と指示する助手

「それから2人は牧師館の納屋で育てられることになりました」

 

まどかとお供の男 俯瞰

「このことが新聞に載ってからです」

「村はたいへんな騒ぎになりました」

 

壁ぎわで待機の役者たち

「慈善事業化や動物学者 人類学者 研究所の団体などがおしかけて」

「慈善のため また学問のためといって狼少女達をひきとりたがりました」

 

スチュワートの足

「むろん牧師は首をたてにはふりません」

「この可哀想な少女達をほんとうに幸せにしてやれる者でなければ

 手離せないと考えていたからです」

 

椅子に掛けた男爵

「あのときもビクトール男爵」 「あなたと議論しましたね」

 

椅子を用意するスチュワート

カタン

 

立ち上がるビクトール

スッ

 

座るスチュワート

タン・・

────────────────────────────────────────

ここから175pです。

ビクトールとスチュワートの議論は連載時原稿もコミックスも同じ。

 

次ページはやや改稿

────────────────────────────────────────

天井

「そしてあなたとの議論のあとぼくは北イタリアへやってきた」

「だが そのとき姉のエルドニアは死にかかっていました」

 

「よし! ここで教会の鐘の音だ」

空き缶と空瓶を叩きつける黒沼の手

カーーン カーーン

 

汗一滴の牧師とスチュワート 奥に衝立の後ろでシルエットの狼少女姉妹

「姉の方が死にました」

カーーン カーーン

「ずいぶん衰弱していましたから」

 

黒沼と助手

「よし ついたてをひけ

「はい

 

「この狼少女の妹はただひとりの血をわけた姉」

ひかれる衝立 床のジェーン

スイ・・・

「唯一の仲間を失ったわけです」

 

ここまでのセリフは176p-1に要約し、ここから176p-2、3(ジェーンの泣き声)になります。 

次ページは176p-4(ジェーンの横顔アップ)から始まりますが、次のコマから改稿。

────────────────────────────────────────

 

男優と女優                                                177p-1は描き替え

「なんて哀しい声だ」

「胸が切なくなるわ・・・」

おお〜〜ん うおお〜〜ん

 

パチンコ店の看板と稽古場の窓の外観

うおお〜〜ん おお〜〜ん

チーン ジャラジャラ チーン

 

ここで152p-1 店内の男のセリフになります(手前の男のシャツにトーンを加筆)

────────────────────────────────────────

152p-2

 

152p-3 (このコマは横に引き伸ばして男達の人数を増やし、服の色柄を加筆)

 

入り口に群がる男達 手前に青筋額汗一筋のまどか   (152p-4は描き替えている)

わい わい

 

青筋頬汗一筋のまどか 奥にジェーンのシルエット  

(狼の遠吠えにこれだけ悲しみを込められるとは・・・・・・)

おお〜〜ん

「さすがだわ・・・」

 

真っ赤な黒沼                                  177p-3は描き換え

ヒクッ

 

黒沼と助手                                    177p-4と同じ構図だが描き替え

「おい今の所 赤で印をうっておけ」

「え? はい」

────────────────────────────────────────

床の匂いを嗅ぐジェーン

クンクン

 

顔を上げて鳴くジェーン

キューン キューン

 

真っ黒バックにうずくまるジェーン

「妹狼の悲しみは深く 毎日姉のいた所の匂いをかぎ」

「けっしてそこから離れようとはしませんでした」

「そして食欲がなくなり まったく食べなくなりました」

 

床に座り込んだ観客の男達

「どうにかしてジェニーナを深い悲しみと衰弱から救おうとする

 牧師の手助けを ぼくはすることになりました」

「なにを差しだしてもジェニーナは食べません」

「水すら飲まず日に日に衰弱していきます」

 

スチュワート 立ち姿

「人間でもこれほどの悲しみようはみたことがありませんでした」

「20日がすぎてもまだなにも食べません」

「水すら口をつけません」

「妹狼は半分死んでいるも同然でした」

 

牧師とうずくまるジェーン

「姉のあとを追ってこのまま死んでしまうのでしょうか?」

「助けてやってください この少女を」

────────────────────────────────────────

スチュワートと牧師

「とりあえずこの子を別の場所に移しましょう」

「姉の匂いの残らないところに」

「それから医者を呼んで栄養剤の注射をうたせましょう」

 

「妹狼は牧師館の納屋から水車小屋の納屋へと移されました」

ゴーー ガタンガタン

「栄養注射がきいたのか少し元気をとりもどし」

「水を飲むようになりました」

 

スチュワート 立ち姿  奥に待機中の役者たちのシルエット

「そしてすっかり元気をとりもどすまで」

「ぼくは眠るとき意外はずっと妹狼のそばですごしたのです」

「環境がかわったのと気になる人間がそばにいるのとで悲しみがまぎれたのか」

「そこではじめてジェーンは姉のことをあきらめたようです」

 

スチュワート 大アップ

「いぜんとして元気はないのですが少しずつ肉を食べるようになって」

「やがて回復しました」

 

「そして牧師は ぼくにならジェーンをまかせてもよいといってくれたのです」

スチュワートと十字を切る牧師

 

壁のスイッチを押す手

カチ

────────────────────────────────────────

パッ   全ての照明が点灯

右手にスチュワートと婦長 

左手に椅子に掛けたビクトール その周囲に待機中だった役者たち

「わ・・・」

 

黒沼

「ここで舞台は明るくなり回想は終わる」

「スチュワートの書斎に集まっている人々が観客にみえる」   (←観客から見える)

「現実のざわめきだ」

 

手前にバトリー夫人 奥に客役の役者たち

「ここに集まっているのは銀行家に鉄道家 おばの伯爵夫人に伯爵令嬢」

「スチュワートの友人に恋人」 「医者に牧師」

「家政婦頭のバトリー夫人」

 

「それから さきほど見世物小屋の男をやった彼が2役でやる新聞記者だ」

キョン顔で自分を指差すバイク男

 

酔っぱらい黒沼と男優

「さっき村の牧師をやってもらった彼にはこんどは」  ヒク

「下男のベンをやってもらう」

 

店員を指差し

「メイドのアン きみはみんなに飲みものを配れ てきとーにな」

「それからこの場ではセリフはろくにないが」

「みんなのやることや話すことに自然に反応していろ いいな」

 

汗一滴の店員

「自然に反応ねえ・・・」

 

テーブルに手を掛ける黒沼

グイ

 

ひっくりかえした

ガターーン

 

俯瞰 黒沼とテーブル

「こいつがオリだ

「召使いのベンにジャン」

「ジェーンをこいつにいれて 合図をしたら」

「かついで出てこい」

 

男優二名

「はい・・・

 

「それからこれが部屋の中央奥にある扉だ」

「おい 真ン中にもってこい

衝立を運ぶ助手

ズルル・・・

────────────────────────────────────────

手前黒沼 奥に婦長

「バトリー夫人 あんたにはいつもの通り病院の婦長のままで演ってくれ」

「いいな・・・

「は はい」

 

汗一滴婦長

(病院の婦長のままで・・・)

 

「おい 新聞記者

カチャ   黒沼壁から取り外し

「おまえはカメラやるぞ」

 

バイク男

「懐中電灯?」

 

天井

「こいつはカメラのフラッシュだ」

「おれが合図をしたらスイッチをいれろ」

「わかったな」

「はァ」

 

「おまえは下手だ」 「いけ

灰皿を投げつけた バイク男逃げるように

ひゃっ  「は はい・・・

 

入り口に座り込んだ見物人

「なんだこれ 素人ばかりの芝居なのか」

「円城寺まどかはみてるだけじゃないか」

「つまらねえ」

 

見物人の男

「まあまてよ どんなことやるか少しみていこうぜ」

────────────────────────────────────────

奥に黒沼 手前に役者たち

「注意してきいてもらいたいことがある」

「みんなけっして演技しようと思わないでもらいたい」

ええーー

「銀行家をやろうとしたり 伯爵夫人をやろうとしたりしないでもらいたいんだ」

 

黒沼のげんこつ

「すなおに自分を表現すること」

「やってもらいたいのはそれだけだ」

 

連れの男 手前に青筋頬汗まどか

「黒沼さんもどうかしてますね まどかさん」

「素人相手に演技つけようがなくなったんですよ きっと」

「・・・・・・」

 

酔っぱらい黒沼のアップ

「回想がおわり舞台が明るくなった」  ヒク

「スチュワートの書斎に集まる人々」

 

黒沼の手のアップ 奥に役者たち

パン 「はじめ

────────────────────────────────────────

役者たち 俯瞰

「信じられないような話ですわねえ」

ざわざわ

「それでその狼少女がきょう 

 イギリスのこの家にやってくるときいて我々はこうして集まったのだが」

「まだ狼少女はついとらんのかね? スチュワートくん」

 

黒沼横顔

 

飲みものを配るアンと役者たち 俯瞰

「インチキじゃないのか・・・」

わいわい

「ほんとはただの白痴の子供じゃないのかね?」

「狼が人間を育てるなんて信じられませんわ」

 

スチュワート アップ

「いえ 狼は家族意識が強く愛情深い動物で 

 よその子供でもみなしごになれば自分達の子供として育てるほどです」

「人間の子供を育てるということは奇跡的なことですが

                     考えられないことではありません」

 

スチュワートと役者たち

「狼少女はすでにこの家にきています」

おおー

「はやくみせてもらおうじゃないか」

「その前に約束してください」

「大きな音や声をたてたりして けっして驚かせないでください」

────────────────────────────────────────

黒沼と婦長

「バトリー夫人」

「はい・・・

 

扉に見立てた衝立に歩くバトリー夫人

カッカツ

 

衝立を押すバトリー夫人

チャッ

 

動く衝立の車輪

スッ

 

オリに見立てたひっくりかえしのテーブルを担ぐベンとジョン その上にジェーン

 

見物人たち

「おっ・・・

────────────────────────────────────────

場の中央に運ぶ 右手にスチュワート 左手にビクトール男爵 周囲に役者たち

 

置かれたオリの中のジェーン 周囲に集まる人々の足

「おおっ これが狼少女かね」

わい わい

 

白目ジェーンのアップ

う〜〜〜

────────────────────────────────────────

セリフを教える助手と おば役の女優

「まあ ほんとう どうもうそうな顔をしていますわ」

「ま ほんと なんてどうもうそうな顔してますこと」

 

セリフを教える助手と 銀行家役の男優

「この目つきはたしかに人間とは思えませんな」

「この目つきはァ・・・」

「たしかに人間とは思えんですなァ」

 

ガウ   ジェーン吠えた

 

奥にびっくりして腰を引く役者たち 手前にそれを見る記者

「わっ」 

ガウウ 

「きゃっ

 

グイ   記者の襟に手を

「わ

 

記者の襟首をつかんで運ぶ黒沼

「わわっ

 

ドン  突き飛ばした

 

注目する役者たち

はっ

 

オリの目前の床に突っ伏す記者

ベタ

 

黒沼アップ

「そこでカメラのフラッシュ

 

バッ   カメラを構える記者と まぶしげジェーン

────────────────────────────────────────

息を呑む役者たち

 

手前に記者 中央に目を見開いたジェーン その後ろに役者たちの足

 

パン  黒沼の手

 

カチ・・  スイッチを戻す記者

 

青筋頬汗で固まったまどか

────────────────────────────────────────

黒沼の手 奥に役者たち

「ようし その呼吸とタイミングだ」

「よく覚えておけ」

 

空白コマ

(なんて“間”なの・・・

(いまの“間”のとり方)

 

呆然まどか

(あの一瞬)

(時をとめてしまったようにみえた・・・)

(印象的な一瞬だわ)

 

後ろからセリフを教える助手と 記者

「おっとこれは失礼 デイリーニュースのアーネスト・ウォルターです」

「狼少女の記念の写真を1枚撮らせていただきました」

「おっとこれは失礼 デイリーニュースのアーネスト・ウォルターです」

 

記者とスチュワート

「狼少女の記念の写真を1枚撮らせていただきました」

「なんだ きみは失敬じゃないか」

「ジェーンを驚かせないでくれといったじゃないか

 

オリの周囲を回るビクトール男爵

コッコッ

 

ステッキでオリをつつきながら

カツカツ  「ふうむ」

 

ステッキの先を掴み取る手

パッ

────────────────────────────────────────

ステッキを奪い取ったスチュワート

「観察はもうおすみですか ビクトール男爵」

 

スチュワートとビクトール男爵 俯瞰

「動物学の権威であるあなたのみたてはいかがですか?」

「このオリの中にいるのは人間ですか?」

「それとも動物ですか?」

 

ビクトール男爵横顔

「人間の形をした動物のようだな」

「スチュワートくん」

 

おとなしくなったジェーン

「なあ スチュワートくん」

「きみの人類学●●●●●●ではこの少女は教育しだいで人間になれるというのだね?」

 

自信ありげなスチュワート

「ええ 人間が本来もっている機能は人間社会の中ではじめて生かされるものです」

「この少女は狼の社会にいたばかりにそれを生かすことができなかっただけです」

 

天井

「男爵の動物学●●●●●●ではいったん野生の動物として育ったものは

 けっして人間にもどることはないというご意見でしたね」

「ですがぼくは教育しだいで人間としての

                 正常な機能をとりもどすことができるはずだと考えています」

 

奥にスチュワート 手前にビクトール男爵

「狼に狼の本能があるように 人間には人間の本能があるとぼくは考えています」

「ならばこの少女の中で眠ったままになっている人間としての本能をめざめさせてやれば」

「それも可能なはずであると・・・」

はははは

────────────────────────────────────────

空白コマ

「人間の本能とはね」

はははは

「スチュワートくん 人類はこの動物界において特別な生き物なんかではないのだよ」

 

入り口付近の見物人たち

「人間社会の中にあってはじめて人類は“人間”になるといえるのだよ」

「人間社会の中でそれに適応できるよう知能が発達していくからだ

         しかも3歳までにその訓練がなされなければそれはむずかしい」

 

黒沼と助手

「ましてや他の動物の社会の中で育てば

      そのものはその動物としての知能や性格を伸ばしていくことだろう」

 

ビクトール男爵アップ

「一旦その動物として育った以上」

「脳はそのことを覚えこみ 体のあらゆる機能がその動物にふさわしく発達していくのだ」

 

いつの間にか取り戻したステッキを愛撫しながら

「もちろん教え方しだいで人間のまねをすることもある程度は可能だろう」

「しかし それは猿が芸をするようなものだ」

 

ステッキにもたれかかり

「生まれてすぐ与えられた環境 育った環境が」

「そのものを動物にするか人間にするか決定するのだ」

────────────────────────────────────────

議論するふたりを取り巻く役者たち 2コマまたぎ

「赤ん坊のときから野生の狼の群れの中で育った以上 この子はもう人間にはならんよ」

「人間の形をした狼として一生終わることだろう」

 

「男爵 ぼくの意見はかわりません」

「いますぐには無理でしょうが根気よく年月かけて教育すれば」

「この少女の人間としての機能を回復させることは可能だと思っています」

 

ステッキに乗せた手

「そうすることがこの少女にとって幸せなことだと思うのかね スチュワートくん」

 

びっくりスチュワート

 

スチュワート汗一滴 俯瞰

「も もちろんです」

「人間は人間として生きるのが幸せにきまっているじゃありませんか・・・

 

ステッキを小脇に抱えたビクトール男爵

「その子は人間ではない 狼だよスチュワートくん」

フフ・・・

────────────────────────────────────────

左手を上げたビクトール男爵 あおりのカット

「それではみなさん失敬」

「その子のためにもきみの理論が正しいと実証されることを祈っているよ」

 

スチュワート 身を乗り出して

「ビクトール男爵 ぼくはきっとこの少女を人間にしてみせる

「きっとだ

 

空白コマ

はははははは

コッコッコッ・・・

 

真っ黒バックに真っ白スチュワート 俯瞰

コッコッコッ

 

シン  客役の役者たち

 

真っ赤な顔の黒沼アップ

 

やや引いて

「よし

パン

────────────────────────────────────────

青筋頬汗まどかアップ

ホッ

(緊張のとき方がうまいわ)

(なんていい“間”なの・・・)

 

黒沼の指

「つぎ 新聞記者だ」

パチン

 

セリフを教える助手と記者

「若き人類学者スチュワートローリー氏と」

「ほーーーっ 若き人類学者スチュワートローリー氏と」

「動物学の権威ビクトール男爵 狼少女の“野生”をめぐって対立

「動物学の権威ビクトール男爵 狼少女のヤセーをめぐって対立・・・」

 

奥に汗一滴の記者 手前に笑う役者たち

「ヤセー? ヤセー・・・」

クスクス

「ああ “野生”か?」

 

セリフを教える助手と記者

「これはいい記事になる」

「やーー これはいい記事になる」

 

キッ   にらむスチュワート

 

びっくりの記者

「あ・・・

 

セリフを教える助手と記者

「いや失敬」

「いやその 失敬」

────────────────────────────────────────

つるはし男と役者たち

「へえ けっこうあいつ 芝居になってるじゃないか」

 

友人役の男優とスチュワート

「ビクトール男爵に勝てる自信はあるのかい? スチュワート」

「きみのやろうとしていることは彼の学会での意見にまっ向から反対することだからな」

「きみは彼に挑戦したも同じことだ」

 

別の男優

「わたしはきみに協力するよスチュワート」

「このかわいそうな少女を一日も早く人間にしてあげてくれたまえ」

「そのためにはどんな援助もするつもりでいるからね」

 

銀行家と男優

「狼少女を利用して偽善家ぶるつもりかね」

「つぎの市長選挙で株をあげたいのでしょう」

「新聞記者をつれてきたのもあなたでしょう ワイラーさん」

「なに!?

 

伯爵夫人

「学問上 どちらの意見が正しいのかわたしにはわからないけれども

                この子がレディになるなんてことあるのかしらねえ」

 

伯爵令嬢

「なんだかこわいわ」

 

セリフを教える助手と医者

「この子を診るのはいいが かみつかれませんかな?」

「この子を そのう・・・ 診るのはいいが えーーと・・・」

オロオロ

「かみつかれませんかな・・・」

────────────────────────────────────────

コルベール牧師

「この少女に神の御加護がありますように・・・・・・・・・」

やっ!

「アーメン

 

見物人

わはは

 

エレンとスチュワート

「スチュワート あなたが学会で有名になってくれるのはうれしいけれど無理はしないでね」

「ありがとう エレン」

「研究に夢中になりすぎてわたしのことを忘れないで」

 

空白コマ

「さ! みなさま お食事の用意ができていますわ」

「どうぞあちらへ

ゾロゾロ

 

オリに手を掛けしゃがむスチュワート とジェーン

「ジェニーナ・・・」

「そうだ きょうからきみのことをジェーンと呼ぼう」

う〜〜

「ジェーン それがきみの名前だ」

────────────────────────────────────────

スチュワート横顔

「ジェーン きょうからここがきみの家だ」

「明日からはもうオリもない」

「きみは人間になるんだよジェーン」

 

真っ黒バックに白目のジェーン                                       178p-1

う〜〜

 

ジェーンの眼のアップ                                            178p-4

 

見物人たち

ゾク

 

まどかとお供

(すごい目・・・)

(すごい目だわ あの子・・・)

 

ジェーン横顔                                                   178p-2

────────────────────────────────────────

おののく見物人たち

「おい・・・ この狼少女・・・」

「なんだかすごかねぇか」

「ああ・・・」

 

手前に見物人たち 中央にオリの中のジェーン そばに立つスチュワート 右手に座り込む黒沼

左手の窓際と奥の鏡に助手たちと役者たち 窓からの光で室内に影が伸びている。 

[忘れられた荒野]

ゴーーー ゴトンゴトン

[第2場 ジェーンの部屋]

                         (いつの間にか照明が消えている・・・(^_^;)・・・)

────────────────────────────────────────

柱言葉   黒沼の演出によってかもし出される不思議な魅力。

芝居はいよいよ核心へと進む。マヤの演技は !?      ・・・でした。

 22号

 

 

 

 

 

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

というわけでこの号の大半のページはカットされました。

 

コミックスに採用されたのはジェーンのカットばかりで他の役者たちの演技場面はばっさりと

削り落とした格好です。

 

パチンコ店の客達が見物に来るシーンは本来姉狼の死の場面でしたが、コミックスでは物語冒頭

のジェーンの遠吠えの場面に差し込んで採用されました。

 

しかしパチンコ店で遊戯中の客が台をほったらかして大挙して芝居見物に来るのは

本来ありえないことですが・・・(^_^;) 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

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23号

 

暗い稽古場の窓

[忘れられた荒野]

ゴーーーッ ガタンガタンガタン

[第2場 ジェーンの部屋]

 

電車 遠景

カンカンカン

 

見入る見物人たち

 

壁の8連スイッチを操作する指

カチカチ カチ

────────────────────────────────────────

天井

パッパッパッ

 

黒沼横顔

「よし そこでスチュワート ドアを開けてはいってくる

 

ノブをひねるパントマイム

クッ   (カチャ)

 

左手にオリの中のジェーン 右手にトレイを持ったスチュワート

 

スチュワート 右手でドアを閉めるパントマイム

(バタン)

 

手前にスチュワート 奥のオリに近づく 俯瞰

カッカッ

────────────────────────────────────────

スチュワートと アップのジェーン

「ここがきみの部屋だよジェーン」

「岩穴より居心地は悪いかもしれないが気にいってもらえるとうれしいね」

 

黒沼の指

「そこで檻の戸をあける

パチン

 

スチュワート 檻の戸を引き上げるパントマイム

スッ

 

そのまま後ずさり

コッコッ

 

手前に待機中の役者たち 奥にジェーンとスチュワート

コッ

 

開いた戸から右前足を出すジェーン                              179p-3

そろり・・・

────────────────────────────────────────

お供の男とまどか

「狼少女が檻から出てきましたね まどかさん」

 

まどか横顔

「ええ・・・」

(姫川亜弓もライバルと一目おいているという少女・・・)

(あの子がかつてアカデミー芸術祭で助演女優賞を獲得したですって?)

(どんな演技をするか じっくりみせてもらうわ)

 

床の匂いを嗅いで回るジェーン                            179p-4,5,6

  クンクン

 

オヤジとつるはし男                                179p-7 は描き替え

「へえ あの子うまいなァ」

「角のタバコ屋の犬に似てるぜ」

 

医者とスチュワート 後ろにバトリー夫人とアン

「どうかねスチュワート」

「今 自分の部屋の点検をしているところですよ」

「ほう で 合格になりそうかね?」

「今の所 文句は出てないようですが」

────────────────────────────────────────

後方に助手 手前にバトリー夫人とアン

「それにしてもなんて汚い体なの 

 さっさとやってしまいましょう アン お風呂の用意を」

「それにしてもなんて汚い体なの

「さ さっさとやってしまいましょう」

「アン お風呂の用意を

「はい

 

奥にバトリー夫人とアン 手前に男優二名

「ジョン ベン  その子をお風呂場へつれてきてちょうだい」

「はい」 「へえ」

「ベン 返事は『はい』だと教えたでしょう !?

「へえ」

 

見物人たち

クスクス

 

右手にジョン、ベン、ジェーンの格闘 左手に黒沼

黒沼 :「気をつけろ かまれるぞ

ジョン:「おい 気をつけろ かまれるぞ

ドタ バタ   わおん

黒沼 :「首ねっこだ 首ねっこをつかめ ベン

────────────────────────────────────────

首を掴まれるジェーンのアップ

グワシ

 

タバコを落とす見物人たち

ポロ

 

ベン

はあ

 

黒沼

「でかしたぞ ベン」

 

ベンに襟を ジョンに腰を抱えられて運ばれるジェーン

わおん おおーーん おーーん

「おれ田舎じゃ よくきつねつかまえたもんさ」

 

見物人たち

「迫力〜〜

────────────────────────────────────────

手前にスチュワートと医者 奥に衝立

ぎゃおーーん おーーん

    「よし そっちの腕おさえろ

「スチュワート 本気であの子を人間にできると思っているのかね?」

    「あきれた お湯がまっ黒だわ」

    「背中をもっと洗ってやって アン

「もちろんです ドクター」

 

助手と医者

「亡くなったきみの父親とは友人だった」

 

医者

「亡くなったきみの父親とは友人だった」

 

見物人たち

「まったくきみは父親そっくりだな いいだしたらきかん」

 

医者(後方に助手)とスチュワート

「しかし今後のきみの研究は ひと一人の生命と運命がかかっとるんだぞ」

「それを忘れるな スチュワート」

「ええ 途中で責任を投げだしたりはしません」

 

衝立

「ドクター ジェーンの診察をおねがいします」

「ああ 今いくよ」

────────────────────────────────────────

奥にスチュワート 手前にバトリー夫人

「どうだいバトリー夫人 あの子は」

「どうもこうも みんなお湯をかぶってびしょびしょですわ」

「狼には入浴の習慣がないってことすっかり忘れていましたわ」

「ちょっとやそっとじゃとれませんわね あの垢は」 

「殻ですわよ まるで」

 

バトリー夫人 後方に見物人たち

「アン 爪きりをもってきてちょうだい

「このままではみんな傷だらけだわ」

「それからハサミもね

 

バトリー夫人 左腕を拭きながら

「あの頭・・・

「ライオンのたてがみだわ まるで」

 

女性の助手と男性の助手

「あの家政婦頭いいわね」

「ああ 看護婦長ぴったりだぜ」

 

衝立の陰から出てきた医者

「おどろいたな」

「あの子を人間の仲間にするのはなかなか根気がいりそうだぞ スチュワート」

 

医者 自分の手を示しながら

「手のひらの内側と指の第2関節の皮膚が硬くなって角質化しとる

「ちょうど足の裏のようにな それからひざもだ」

────────────────────────────────────────

見物人たち 俯瞰

「まず脚だが完全に筋肉が動物のように変化しておる」

「ひざを伸ばすことができん」

「ずっと曲げたままだったのでその部分の筋肉が収縮しとるのだ」

 

医者 中腰のポーズで

「ということはつまりひざに体重をかけることができない」

「2本足で立てないわけだ」

 

医者横顔 手を開閉しつつ

「それから両手はずっと握りしめたままだったとみえて 開閉することができん」

「ものもつかめん 5本指がバラバラに動くということもしらん」

 

スチュワート 汗一滴

「どうすればいいでしょう?」

 

医者の足

「根気よくマッサージをしてやるんだな」

「それしかない」

 

黒沼

「ジェーン」    パン

 

奥のベン 手前に駆け出すジェーン

「あいててていっ」 「まて

ダッ

────────────────────────────────────────

ジェーン 見物人たちの方へ

がう

わーー きゃー

 

クル 方向を変えた

 

ジェーン

うーーー がうう・・

 

バトリー夫人とスチュワート

「無理やり服を着せたものですから怒っているんですわ」

 

服のすそをかじるジェーン                                                180p-2

うーー・・  ガジガジ

 

バトリー夫人とスチュワート

「これ

「きょうはいい

 

スチュワート横顔アップ

「いずれそのうちレディとしての行儀を覚えてもらうさ」

────────────────────────────────────────

空白コマ

「スチュワート きみのそのレディに この駆虫剤を飲ませてあげたまえ」

「腹の中に相当虫がいるようだ」

「では また診察にこよう」

ははは

わはは

ゲラゲラ

 

黒沼

「いいぞ その調子だ」

「暗転

「真夜中」

「ジェーンの遠吠えだ」

 

窓からの明かりで浮かび上がるジェーンのシルエット

うおーーー  おおーーーん

 

暗闇

おおー・・・ん

バタバタ

「スチュワートさま なに事でしょう あの声・・・

「ジェーンになにかあったんでしょうか?」

 

暗闇

「ただの遠吠えだよ」

「ほら 犬だって夜になるとよく遠吠えをするだろう?」

「んまっ

おーーーんん・・・

「おやすみ バトリー夫人 ジョン」

────────────────────────────────────────

暗闇の窓

おおーーーん

 

助手達

「つぎの場からいよいよ本格的な狼少女の活躍だな」

「ああ」

 

トレイをもったスチュワート 床にジェーン 俯瞰

「おはようジェーン」

「朝日がまぶしいのかい?」

 

天井

「狼は夜行性で夜活動するかわりに」

「昼間は巣の中でうつらうつらしていることが多いときく」

コッコッコッ

「まずきみの生体リズムから変えていこう」

「昼間動いて夜に眠るんだ」

 

カーテンを掴む手のパントマイム

クッ

 

両腕を広げ

シャー

────────────────────────────────────────

瞬間 まぶしげに顔をしかめるジェーン

巨大びっくりマーク付き

 

窓辺のスチュワートと 片隅のジェーン

 

まどかアップ

はっ

 

スチュワートの立ち位置の反対側の窓から

ゴーー ガタンガタン

 

頬汗まどかとお供

(みまちがいかしら)

(今一瞬まぶしいほどの日差しを感じたわ・・・)

(あの子の表情のせい・・・・・・?)

 

薄目のジェーンのアップ

うーーー

[第3場]

[狼少女ジェーンとしてのマヤの本格的な動きがはじまった]

 

空白コマ

「まぶしいかい? ジェーン」

「だが人間は朝におきるもんだ」

コッコッ

 

床に皿を

コトン

「朝食をおいておくよ あとでお食べ」

 

手前にバインダーを持つスチュワート 奥にうずくまるジェーンのシルエット

「1931年9月10日 ジェーンの狼としての生体リズムをくずすことから始める」

「朝7時に起床」

「食事 いつもの半分量の生肉と水」

────────────────────────────────────────

180pに同じセリフがありますが注釈のないコマは全て描き替えています。

 

次ページは181pに採用 182p(夕食)まではコミックスも同じ

 

────────────────────────────────────────

ジェーン横顔アップ

「その頃から顔つきがしっかりして 目に生気があらわれる」

「活動時間にはいったらしい」

 

「元気よくマリで遊ぶ」

 

ベッドでバインダーに記入するスチュワート 照明はオフ

9月11日午後1時半 1度目の遠吠え」                       (←午前の誤植)

おーーん うおおーーん

 

ベッドに突っ伏すスチュワート

「午前3時半2度目の遠吠え」

おおーーーーん

「間隔を老いて30分ほどつづく」 「・・・・・・」

 

黒沼 助手 役者たち

おーーーん

────────────────────────────────────────

翌朝 椅子を転がして作った巣にうずくまるジェーン

 

空白コマ

「おはようジェーン 朝の食事だよ」

 

スチュワート カーテンを開くパントマイム

シャー

 

まぶしげなジェーン

キュンーーン

 

手前にトレイを持つスチュワート 奥に180p-5のジェーン

「少し寝不足のようだね」

「だが食べないと1時間後にはさげてしまうぞ」

────────────────────────────────────────

次ページは183pと同じです

 

184pもセリフは同じですが184p-1,4以外のコマはコミックスでの加筆。

連載時原稿ではこのページの左端は花とゆめ24号の広告スペースです。

 

次ページの3コマ目までは空白コマでした。

この部分のセリフは184p-6,7,8コマに採用。(絵は加筆)

 

次コマ

 

真っ黒バックにうずくまるジェーン        185-2 に縮小して採用

「この頃夜に眠るようになる」

 

見入る役者たち

 

エレンとスチュワート

「スチュワート」

「エレン」

────────────────────────────────────────

うれしそうなスチュワートと心配げなエレン

「みておくれ ジェーンが少しずつ変化してきているんだ」

「最近では朝7時にぼくがくるのがわかって目をあけて待っているんだよ」

「あんなに朝の光がまぶしくて眠そうにしていたのにさ

 

空白コマ

「それに食事の時間がちゃんとわかってるんだ」

「最近では3度ともきちんと食べるんだよ」

「その時間しか食事をもらえないからね」

「甘味は好物だが塩味はだめだということもわかった」

 

シルエットのスチュワートとエレン

「それにぼくの言葉に反応するんだ」

「口調でいっている意味がわかるらしいんだ」

「頭がいいよあの子は」

「スチュワート

 

黒沼と助手たち

「あさってはイブよ おじいさまの家でのパーティー忘れていないでしょうね」

「え? なに?」

「イブのパーティーよ」

────────────────────────────────────────

エレンアップ

「あなたったらこの頃なにをいっても上の空ね」

「電話をするって約束も もう何度忘れたかしら」

「会っても話すことは狼少女のことばかり」

 

天井

「恋人が狼少女に夢中ですなんてね」

「ああ ごめんよエレン」 「きみを忘れているわけじゃないんだ」

「こうやってきみが姿をみせてくれるだけでぼくはとてもうれしいんだ」

 

エレンとスチュワート

「しかたのない人ね スチュワート」

「浮気の相手がセクシーな美人じゃないから許してあげる」

「おじいさまがあなたに会いたがっているの」

 

スチュワートの肩越し 後方に役者たち

「大丈夫かな 学者なんてインテリはきらいだっていってんだろう」

「大丈夫よ あなたはそうじゃないから」

 

二人の足

「おいおい エレン どういう意味だい?」

「たしかにパパもおじい様も学者よりは実業家の方が好きよ」

「でも新聞にのったあなたの記事をみて考えが変わったの」

────────────────────────────────────────

奥にエレン 手前にスチュワート

「人類学会の若きエリート」

「やがて博士にでもなって名を残せるかもしれないじゃない」

「買いかぶらないでくれよ」

 

スチュワートに抱きつくエレン

「ほんとは新聞にのった有名人と会いたいだけよ」

「エレン」

 

真っ黒バックにスチュワート立ち姿

「1932年1月4日 雪でいっぱいの庭へ出たがる」

 

空白コマ

「かつて育った荒野を思い出したのか しきりに遠吠えをくりかえす」

おおーーーーん おお・・・・ん

「毎日のように外へ出たがる」

 

召使い達とジェーン シルエット

「行動に感情的なものがみられる」

「1月15日 ジェーン暴れる」

がうーー   おーーー

きゃーーー

バタ ドタ

────────────────────────────────────────

ジェーンアオリアップ

おーーー  おおーーーん

 

スチュワートアップ

「1月17日 ジェーン脱走をはかる」

 

頬汗まどか お供 見物人たち

ゴク・・・

────────────────────────────────────────

柱言葉   芝居は狼少女ジェーンを中心に進み始めた。

狼から人間の心への変化を、マヤはどう表すのか・・・     ・・・でした。

23号

 

 

 

 

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←非常に珍しい

  擬音のモノローグ

 

 

 

←これも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

ふー (^。^;) つかれた・・・ 今回はここまでです。

 

あまりにもカットページが多いので3話分しか集中力が持ちませんでした・・・(ーー;)

 

本当は通し稽古編は1ページでまとめるつもりでしたが、採用ページの方が少ないので

ほとんどのページの内容を書き込まねばならず精根が尽きました・・・(T_T)

 

また、ほとんどの場面がコミックスには採用されていない為、ツッコミを入れるような矛盾や

アラが見当たらないので特に書くこともありません。      ・・・(^_^;)

 

 

 

 

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12/02/22 コンテンツ全体の修正

06/04/13 背景とレイアウトの変更

 

06/04/29  キエカナ」 へのリンク追加

06/05/08 屋台場面の注釈を追記 

06/04/12 背景とレイアウトの変更

06/04/06 画像のレイアウト変更

06/04/12 記述の追加とレイアウトの修正

06/05/01  キエカナ」 へのリンク追加

06/04/12 レイアウトの変更

06/04/12 新事実の追記二件と全体修正

06/04/17 内部リンクの追加

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06/04/17 内部リンクの追加

06/05/01 コンテンツ名変更

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06/06/16 更新 記述の追記と修正 

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06/06/16 解説・注釈の追記と記述の修正

                                  

                 

             

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ついに作家デビュー !! 

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