読み始めたら止まらない  大河解説ロマン  ガラスの改稿  狼少女ジェーン 18 嵐の開演初日編 3

〜 ガラスのように もろく壊れやすいシナリオ ひとはみな素顔を隠して それをえがく 〜 

第11章 紫の影 19 狼少女ジェーン 18 嵐の開演初日編 3

も く じ

2006/07/15 作成  

 

あらすじ

 

「忘れられた荒野」の初日は嵐を衝いて来場した速水真澄の見守る中開幕した。

 

ただひとりやってきた真澄の気持ちに対するマヤの疑問はそのままにして

スチュワートとビクトール男爵の議論から始まる物語は粛々と進み、

素人役者たちの演技には思わず笑いを洩らす真澄に黒沼龍三は安堵した。

 

サクラコージは真澄の視線が常にマヤを追い続けている事に気が付いた・・・

 

 

 

 

解説

 

 

かぜの迷宮

 

 

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花とゆめ1985年20号(連載219回)  カラー扉

 

舞台上 奥に山の絵を持った怒り顔のスチュワート立ち姿  手前の床にジェーンを押さえつけた

頬汗大口のベン 窓(の方)を指差しつつ・・・  背景は家具に模したタイヤとブロック

「ジェーンが脱走しようとしたって!?

「はい あの窓から外へ逃げ出そうと・・・」

ガウウ

「この絵のせいか・・・」 

「この絵をみて荒野を思いだしたんだ・・・」           (このセリフは次のコマにまたぐ)

 

真剣な表情の真澄のアップ

「帰りたいのか ジェーン そんなに荒野がいいのか・・・

「スチュワートさま・・・

「こい ジェーン」 「きみの本当の世界をみせてやる・・・

 

このページのコマ割りは縦割りです。 最下段はあらすじ紹介のコーナーです。

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劇場の客席全体の斜め俯瞰 中央に座席の真澄 そこだけ白抜きのスクリーントーン

「スチュワート 街から帰ってきてからジェーンの様子が変なのですって?」

「ああ・・・」 「急におとなしくなってしまった・・・」

「よほどショックだったのかもしれない」 「なにも食べないんだ・・・」

 

手前にスチュワート 奥にスチュワートを見るエレン   背景は天井からのライティングを示す線

「車の中でジェーンがみたものは両側にそびえ立つ石の建物」

「道路を走っていく多くの車」

「交差点での信号の点滅」

 

真っ黒に塗り潰されたコマにうつぶせたジェーン(引きのショット) 天井からのライトに浮かぶ

「商店街のショーウィンドウ」 「赤や青の大きな看板」

「人の波・・・」

 

左奥に伏せ目のスチュワート  右手前にスチュワートを見るエレン  真っ黒背景

「それから煙を出して走る黒い鉄の巨大な怪物・・・」

「汽車をみせたの」

「ああ」

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天井の照明器具

「それでジェーンは?」

「おびえていた・・・」

 

右手前 スチュワート伏目の横顔  左奥にエレン

「どんなにこの家を逃げだしても もう荒野はないのだということをわからせたかった・・・」

「それは理解したのね」

「ああ・・・」

 

座席の真澄 服に水滴  背景は場内の座席と側壁

「もう帰るべき荒野はないのだ」

「自分はなにかとてつもなくおそろしい世界へつれてこられたのだということを・・・」

 

床に白目青筋のジェーン  ややアップ  

 

真澄のアップ 前髪と後ろ髪から滴る水滴に八方放射の光 2つ

 

手前に頬汗サクラコージ 客席を横目で見つつ・・・  奥に座席の真澄のシルエット  

(まただ・・・)                                 フラッシュモノローグ

(またジェーンをみている・・・

(さっきからずっと・・・

 

ベタの中に左半面だけが浮いた頬汗青筋サクラコージのアップ  ベタフラッシュモノローグ

(いや・・・

(舞台がはじまってからずっとだ・・・

(ジェーンだけをみている・・・

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天井の照明器具  様々な方向を向いて一列に並んでいる(点灯しているものは無い)

「ねずみ殺し用の毒だんごをあやまって食べただと!?

「ジェーン しっかりしろ

グエー

「死ぬな」 「死ぬな ジェーン

 

舞台中央右に汗一滴のエレン 左に頭を抱えたスチュワート 左手奥にはブロックのベッドに

横たわるジェーン  周囲にタイヤを積み上げた壁  真っ暗な舞台上 人物にはスポットライト

「少しはお休みになって スチュワート」

「ジェーンの看病もいいけれどずっと寝ていないのでしょう」

「あなたが先にまいってしまってよ」

「そんな気にはなれないよ」 「もう4日も熱が下がらないんだ」

「このままではダメかもしれない・・・」

「助かってくれ ジェーン・・・」

 

右手前に舞台奥のアンとジョン 背中越しの横顔  奥に舞台中央の笑顔スチュワート それに

じゃれかかるジェーン  背景は客席  スチュワートとジェーンには幅広のスポットライト    ※

「回復してからジェーンはすっかりスチュワートさまになつくようになったわね」

「あはは こら やめろよジェーン」

キューーーン  キューーーン

「あれだけ真剣に看病なさってたんだ」

「スチュワートさまのお心が通じたのさ きっと」

 

※このコマは舞台の奥から客席に向かってのアングルで描かれた構図です。

このページのコマ割りは上中下の3段に分割した3コマで構成されています。

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うれしげなスチュワートの立ち姿 汗一滴  やや俯瞰  スポットライト

「ジェーンはようやくぼくになつくようになってくれました」

「と同時にこの頃から家のものにも敵対心をみせなくなりました」 (このセリフは次のコマにまたぐ)

 

頬汗見開き眼の笑顔スチュワート  アオリ気味のアップ

「そうです・・・ 人間への警戒心がやっととかれたのです・・・

「これでジェーンに人間教育ができる」              (このフキダシだけがギザギザ型)※    

真剣な眼差しの真澄の横顔

 

ジェーンの右手を開かせるスチュワートの両手  

「ジェーン きみの手は開くことができるんだよ」

「そら こうやって」

 

床にしゃがんだスチュワートとジェーン  俯瞰  周辺にはタイヤとブロックの家具

「不思議だろう」 「今までひらいたことがなかったのだからね」

「この手はなんでも物をつかむことができるんだよ」

 

握手する手のアップ   点描の波紋の背景

「ほら」

 

※スチュワートの役柄は観客やローリー家の客に対する説明役として舞台を進行しつつ、時々

スチュワートとしての感情を表現するので一コマの中でフキダシの形を変えているのでしょう。

「ふたりの王女」のときのユリジェスもそうでしたが、「忘れられた荒野」のスチュワートの方が

ナレーターとしての役割がより多いのはジェーンのセリフがほとんど無い事も大きいかも・・・(^_^;)

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微笑スチュワートの横顔アップ(左向き)  八方放射の光

「こんにちは ジェーン」

 

ポカンとしたジェーンの横顔アップ(右向き)  八方放射の光2つ

 

握手した手のアップ  背景は点描の輪

「きみはもう人間だよ」

「これは仲よしのしるし」

 

握手したスチュワートとジェーン  両者の間に八方放射の光

 

同じポーズでロングショットの絵  ベタ背景 (二人を光が包みそれが立ち昇っている感じ)

 

真澄の後ろ頭  背景は客席の背もたれが舞台の縁まで重層に描かれ 舞台上はスクリーン

トーンで塗り潰している  その空間のトーンの一部を削ってモノローグが・・・

(マヤ・・・)

 

このページは全体として最後のコマの真澄の視点からの画面構成です。   ・・・(^_^;)

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この時点のジェーンにはまだ人間

としての意識が無いので、怒って

いる時以外は総じてボーッとした

表情をしています。  ・・・(^_^;)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

舞台袖の助手たち

「いいわね桜小路くん情感がこもっていて」

「ああ 稽古のときよりずっといい・・・」

 

真っ黒バックにびしょ濡れ真澄  アオリ気味のカット

 

手前にバインダーを持ったスチュワート  奥に椅子に腰掛けたジェーン  俯瞰

「わたしはまずジェーンに座ること 歩くこと 声をだすことを教えることにしました」

「その椅子から動くんじゃない ジェーン」

「座ることに慣れるんだ」

 

左手首をなめるジェーンの横顔

「体を嘗めるんじゃない・・・

 

ジェーンの手をとって歩く練習をするスチュワート           多重描写コマ  33巻15p-3

「1・2・3 1・2・3」

「そう・・・ その調子・・・

ジェーンのアゴに手を添えたスチュワート

「ジェーン」 「さあ いってごらん」

「あごをこう動かして ジ・エー・ン」

「ジェーン」「さ 声を出して・・・

ジェーンのアップ

あ・・あ

 

                      このコマはコミックスでは2日目の場面に転用。 ・・・(^_^;)

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スチュワートの右手首に噛み付くジェーンのアップ  放射線背景

ガブ

「わっ

 

軽く放射線を引いた空白コマ

「ジェーン

 

舞台側壁の照明器具

「ジェーンの教育はたいへんでした」

「歩くことも座ることもしゃべることも なにもかもがジェーンにとっては遊びなのでした」

「あきればすぐにプイと他のことをやりだすのです」

「思うようにならないとぼくにかみつきました」

 

暴れるジェーン 腕を持って抑えるスチュワート                      33巻16p-1

「立つんだジェーン きみは人間だぞ!」

「こんど四つ這いになったら身体を柱にくくりつけてでも立たせてやるぞ

フギャー

オオオーーーン

「そら テーブルの上に皿がある あそこまで歩くんだ・・・

「歩かなきゃ食べさせないぞ!」

 

                               このコマも2日目の場面に転用。 ・・・(^_^;)

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奥に鏡の方を指差す立て膝のスチュワート と暴れるジェーン  手前に鏡の枠  32巻135p-2

「さ 鏡をみて

アアア

「スチュワート

 

自分の胸を叩いて示す真顔のスチュワート   放射線背景

「スチュワート

「ぼくだ

 

真澄のアップ  真っ黒バック

 

指差す右手のアップ (真横のアングル)  流線背景※

「ジェーン」

 

左手でジェーンを抱え、右手でその胸を叩くスチュワート

「ジェーン

「きみだ

 

天井と側壁

「いってごらん スチュ・ワート

「もっと大きく口をあけて

「このまんま声を出すんだ

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※流線のみで構成された激しい

動きを表す背景は「ガラスの仮面」

ではかなり珍しい。

 

 

 

 

 

 

 

ジェーンの口を開かせようとする頬汗スチュワート  眼を閉じて苦しげなジェーン  メラメラ背景

「ジェ・エー・ン」                (このコマはこのフキダシ以外はすべてギザギザ型)    

「ジェーン」                                        32巻135p-1

顔を両手でつかまれた苦しげジェーンのアップ

ゲエ

「いってみろ」 「ジェーン」

頬汗スチュワートの横顔アップ

グエーー  グエー

「ジェーンだ」                      このコマは多重描写コマです。  ・・・(^_^;)

 

眼を閉じて大口を開けて啼くジェーン 正面アップ   放射線背景

うおおお

 

左手前に真澄の後ろ頭と重層の観客席をなめて画面奥に舞台 床に座り込んで啼くジェーン

横合いからひざ立ちの姿勢でスチュワート 汗一滴  二人を中心にした放射線背景   ※

おおおーーーん

「ジェーン

 

※このコマの真澄の前列の背もたれには脱いで掛けられたコートが描かれています。

ここまでに幾度も真澄のカットがありましたが、そのすべてのコマで描き忘れていたコートの絵を

ここにきて突然思い出したのでしょうか・・・(^_^;)?  

(この号でもこれまでに2度真澄と周囲の客席の場面がありました)

 

ややこしい話で恐縮ですがスチュワートによるジェーンの訓練場面は32巻で追加された停電の

エピソードのあとに一部のコマが採用されていますが、33巻での開演2日目の場面にも一部が

流用されているのでコミックスを2冊お手元に用意して頂けると絵が見られます。

コミックス32巻では採用コマの合間のコマ運びを端折っているので展開がスピーディーですが

その分情感は失われてしまっています。

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右に横顔エレン 中央に汗一滴スチュワート ふと・・・  奥にシルエットの大口で啼くジェーン

「スチュワート」

「エレン」

おお〜〜〜ん

 

真っ黒バックにスチュワートの横顔アップ 汗一滴

「気長にやるさ」

 

客席の真澄 (髪からは水滴が落ちている) 周囲は客席 背景は座席と側壁、天井など  ※

 

場内を斜め後方から俯瞰で捉えた構図  客席には真澄 舞台上には座り込んだジェーンと立ち

姿のエレンとスチュワート (このコマの人物は小さく、すべてシルエットでの描写)

「あいかわらずジェーンの心は狼のままでしたが

         それでも少しずつ変化がみられるようになってきました」

「昼間起きていることに慣れ 夜は眠るようになりました」

「遠吠えもほとんどありません」

「意外な変化はジェーンが闇をこわがるようになったことです」

「夜中に目をらんらんと光らせていたあのジェーンがです」

 

カーテン(のような背景)に八方放射の光が二つ描かれた空白コマ

「1934年4月20日 ジェーンに味覚の変化」

「塩味のスープをのむ」

 

ブロック2段積みの台の上の皿に顔をつけて食べているジェーン  やや俯瞰

「4月25日 味つけした肉を食べる」

はぐはぐ

「4月30日 ビーフシチューを食べる」

 

真っ黒バックに真澄のアップ

「クッキーやビスケットは大好物」

 

※このコマの真澄の前列の背もたれにもコートが描かれています。      ・・・(^_^;)

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ジェーンは床に座っています。

 

 

 

 

 

照明の線(とおぼしき線)が描かれた空白コマ  (背景の線が隣のコマに2コマまたぎ)

「あいかわらず風呂だけは嫌いだが抵抗はしなくなった」

 

上と同じ背景の空白コマ

「裸をきらい 衣服を身につけていたがるようになった」

 

真澄の座り姿 正面 (足を組んでいる) ベタ背景に白抜きで八方放射の光 

 

ふと・・・ 気になるサクラコージ

 

真澄の目元の大アップ 八方放射の光  (髪はまだびしょ濡れ)

 

真っ黒背景に頬汗見開き眼のうつむきサクラコージ  顔の中心にはスクリーントーンの影

(まただ・・・)                          

(マヤちゃんをみている・・・

 

手前に舞台上に這うジェーンの後姿  奥に客席の真澄(のシルエット) 背景は場内の全景

舞台とジェーンは白抜き 客席にはスクリーントーン  その空間にフラッシュモノローグ

(気がつくと視線はいつもマヤちゃんの方にむいている・・・

(速水さん・・・

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舞台裏に引っ込んだ頬汗サクラコージの後姿 汗一滴  奥に助手二名  背景はコード類など

「水を・・・」

「熱演ね 桜小路くんすごいわよ」

 

コップを手に息をつくサクラコージ 傍らに助手  背景に垂れ幕と照明機材  俯瞰

フー  

 

右奥に舞台上のバトリー夫人の立ち姿アップ (舞台を真横から見た構図)  左手前に舞台袖の

垂れ幕の陰からコップを口にして場内の様子を窺う青筋頬汗の真っ白サクラコージ 横顔アップ 

「そりゃあもう毎日毎日立つこと歩くこと座ることの訓練を

               みていていやになるくらい くりかえすのです」

(なぜですか 速水さん)                                    ※

(なぜきょうここへきたのですか?)

(こんな台風の中をいったいなぜ・・・?)

 

垂れ幕の脇の青筋頬汗サクラコージ  アオリ  フラッシュモノローグ

(速水さん・・・

(あなたの目的はなんですか・・・?)

 

手前にバトリー婦人  左後ろにコルベール神父  右後ろにアン  ややアオリのカット

「それから足腰のマッサージ」

「狼として発達した筋肉をほぐすのですわ」

「彼にさわられるのをいやがっていたジェーンがまったくうそのようですわ」

 

※このモノローグはフキダシのないモノローグですが便宜上括弧で括っています。

台詞の内容はマヤっぽいのですがサクラコージのモノローグです。    ・・・(^_^;)

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                              このページは32巻146pに収録されています。

 

真澄の大アップ  アオリ  (髪はびしょ濡れのまま)

(マヤ)            ※これもフキダシのないモノローグですが便宜上括弧で括っています。

 

座席の真澄  (やや引いたカット)  背景は客席と劇場内の側壁

(きみの小さな身体のいったいどこにそれほどの情熱がひそんでいるというのだ・・・)

(きみがおれの前にあらわれるまでおれにとって女優はただの商品だった)

(商品の人間らしい気持ちも感情も無視してきた・・・)

(誰かのファンになるなど考えも及ばなかった・・・)

 

真澄の表情の特大アップ  点描の輪の組み合わせの八方放射の光  下と2コマまたぎ

(舞台の上のほんのひと笑み)

(思いもかけず流れてきた視線・・・)

(そんなものにこのおれが釘づけになるとは・・・)

 

憂い顔頬汗真澄の特大アップ  周囲に八方放射の光   背景はスクリーントーン

(こんな小さな少女に心を奪われるとは・・・

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先バラしになってしまいますが

コミックスでのひとつ前のページ

のマヤのイメージカットと真澄の

モノローグは実は花とゆめ次号

から転用された場面なのです。

2冊の「花とゆめ」に描かれた

真澄の心情描写をひとまとめに

したわけですね。   ・・・(^_^;)

嵐のビル街  俯瞰構図  背景は地表近くに明るさのある真っ暗な空 

ゴオオオ 

 

このページの左端にはLaLa11月号の広告スペースがあります。 

                            ・・・よってこのページは1コマのみの構成・・・(^_^;)

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                              このページは32巻140pに収録されています。

 

嵐の中の立派な屋敷の門構え  

オオオ

 

受話器を持つ頬汗紫織  

「ええ!? 真澄様が家へ帰ってらっしゃらない・・・ !?

「『忘れられた荒野』の舞台を観る為に劇場へ・・・?」

 

青筋額汗の紫織の目元のアップ

「信じられない この台風の中を・・・」

「あの少女の舞台を観るために・・・」

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                              このページは32巻141pに収録されています。

 

アルバムと パックの衣装を着たマヤのイメージカット

(あの少女の・・・・)

 

受話器をひざに置いて考え込む頬汗紫織  背景は室内の調度 奥のふすまから風の音

ヒョオオオ

(真澄さま・・・)

(あなたにとってあの少女は・・・)

(北島マヤというあの少女はいったいどういう存在なのですか・・・?)

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雨月会館の正面  アオリ  背景は暴風雨 新聞紙などが風に舞っている

ゴオオーー

 

客席の真澄  ロングショット  背景は劇場の内壁                      ※

「ジェーンの心の変化は思いがけない形でおとずれました」

ヒョオオオ

「その日のことをぼくはけっして忘れないでしょう」

 

開いたり閉じたりする手のアップ

「開いて 閉じて

「開いて 閉じて

 

手を動かしつつ座っているジェーンの口元に伸ばしたスチュワートの右手 丸い物をつまんでいる

「そう うまくなったね」

「そら ごほうびのチョコレートだ」

「あとはこの手がものをつかめるということを理解するだけだ」

 

指導するスチュワートの立ち姿

「毎日つづく進歩のない訓練にいいかげん嫌気がさしていた頃です」

「1934年10月5日 ジェーンをひきとって2年目のことでした」

「さ もう一度 開いて 閉じて

 

※このコマの真澄の座席の一列前の背もたれには掛けられたコートが描かれてはいますが、

その位置がずれています。

(真澄は中央通路からみて左側のブロックの二つ目の座席に座って、その前の列の通路から

一つ目の席の背もたれにコートを掛けたのですが、このコマではコートが真澄のまん前に当たる

二つ目の席の背もたれに描かれています)

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左にスチュワートの横顔 アップ  右からジェーンの右手が伸びスカーフをつかむ・・・

「あっ・・・

バッ 

 

右手前に舞台袖の助手二名  奥の舞台上にシルエットのジェーンとスチュワート

「いよいよね」 

「ジェーンが人間と気づくシーン」  

  「なにをするんだ ジェーン」       このセリフはスチュワートの台詞でギザギザフキダシ

「ああ・・・

 

スチュワート  ふと・・・

 

スカーフを手にしたジェーンの両手のアップ  つかんだりさすったりしている  空中に?マーク

 

左手前にスチュワートの微笑の横顔  右奥にスカーフを弄ぶジェーン

「開いて閉じて 開いて閉じて」

「そうだよジェーン この手は物をつかめるんだ」

 

スカーフの匂いを嗅ぐジェーンの横顔 アップ

クン

 

顔にスカーフを寄せたジェーンの目元の大アップ

クンクン

クン

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この?マークは手書き文字です。

きょとんとした表情で手にしたスカーフを見るジェーン  (視線は下向き)

 

顔を上げるジェーン  アップ

 

真っ黒背景に足を前に投げ出して座ったジェーン 手にはスカーフ (左向き 横からのアングル)  

「スチュワアァ・・・」                           少し大文字

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連載時原稿での印字がやや大きな活字ということです。  ・・・(^o^;)

びっくり顔の真澄  ややアアップ  顔の周囲にベタフラッシュ     ・・・髪には水滴・・・(^_^;)   

 

放射線背景のみの空白コマ   放射線が2コマまたぎ

「スチュワアァ・・・ スチュワアーァ

 

「ジェーン

 

スチュワートの左腕をつかむジェーンの右手  のアップ

ガッ

 

頬汗スチュワート ふと・・・  その胸元の匂いを嗅ぐジェーン

クンクン

 

目を見開いたジェーンの横顔 顔に震え  ややアップ

「スチュワアァ・・・」

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右に喜ぶスチュワート 汗一滴  左にスチュワートの袖をつかんで見上げるジェーン 

「そうだよ ジェーン」                                   放射線背景

「スチュワート それがぼくの名前だ

「スチュワアァ

 

幕間から見詰める青筋頬汗の助手たち  (下の2コマにカットインするようなコマの配置)

 

真っ黒バックに口半開きの頬汗真澄の横顔

 

手前にスカーフを嗅ぐジェーン  奥に嬉しげなスチュワート 汗一滴  放射線背景

「スチュワアァーァ                         斜めに印字された大文字

「そうだよ スチュワート ぼくだよ

クンクン

 

右手につかんだスカーフのアップ

「スチュワアァーァ

「おい みんなきておくれ

「ジェーンにぼくの名前がわかったんだ

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ジェーンはしゃべっているというよりも吠えているといった感じで捉えていただくと解りやすいかも・・・(^_^;)

ジェーンの右手もろともスカーフを引き寄せて嗅ぐスチュワート

クンクン

 

自分を指差すスチュワート 横顔

「スチュワート」

 

腰をかがめてジェーンのドレスの裾を嗅ぐスチュワート  (二人とも立ち姿)

クンクン

 

右手でジェーンの胸を叩くスチュワート  ジェーンは呆然としている   放射線背景

「ジェーン

バン

 

真っ黒バックに青筋額汗のジェーンの目元の大アップ  うつむき加減

「ジェ・・・エエ・・・

 

空白コマ  背景は天井からの照明

「そうだよ! きみはジェーンだ!」

「ジェエエン」

 

一方を指差すスチュワートの右手  流線背景

「ごらん これがきみだ」

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鏡(の枠)の向こうから指差したスチュワートとジェーン 立ち姿  放射線背景

「ジェーン

 

呆然としたジェーンの胸元を叩くスチュワートの右手

「ジェーン

パン

 

鏡の方を指差すスチュワート  (スチュワートの後ろ頭越しのカット)

「スチュワート」

ピタ                                      指差した音です・・・(^_^;)

 

自分を指差すスチュワート と横に並んだジェーン

「スチュワート」

 

震えるジェーンの両手  (右手にはスカーフを握っている)

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中空のジェーンの両手  放射線背景

ピタ                                   震えが止まった音です・・・(^_^;)

 

見開き眼で口半開きのジェーン アップ  アオリ気味のカット

 

見開き眼で口半開きの頬汗真澄  これもややアオリ気味のカット

 

舞台袖口の頬汗呆然顔のスタッフ3名

 

真っ黒背景に鏡の枠越しのジェーン  右手にはスカーフ

「ジェエエーン」                               少し大文字

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放射線背景のみの空白コマ

「ジェーン・・・ それがきみだ ジェーン

スチュワアァ

ジェエーン

「そうだよ それがきみとぼくの名だ

 

すばやく動くスチュワートの手のアップ  (流線付き・・・^^;)

 

マヤの目元のアップ  目元に八方放射の光  顔の中にフキダシのない印字で・・・ 流線背景

え・・・?                                            ※

 

びっくり顔の脇役たちと助手たち  放射線背景

 

見開き眼の真澄の大アップ  左瞼と右半面にスクリーントーンの陰影  ベタ背景に顔フラッシュ

なに・・・!?                                           ※

 

※ この文字はいずれもフキダシのない普通の大きさの活字です。

真澄の なに・・・!? は珍しい事なのですが斜体ではない半角記号で印字されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よってここでの記述もそれに準じ

て表記しました・・・(^_^;)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

この号には柱言葉はありません。

近頃は柱や天地に余白があるページが少ないのでコミックスでのページ数が印字されている事も

少ない為、当該場面のページ数の照合が難しくなってきました。             ・・・(^_^;)

 

コミックス32巻118pからの劇場入り口のガラスの破損と停電で舞台の進行が中断するエピソード

は、途中でも少し触れた通りコミックス編集時点での加筆ですので、ご覧の通り連載時原稿では

その片鱗すらありませんでした。

コミックスでは改稿に伴ってこのようにより劇的な演出が施される事が多いのですが、その傾向

は今後益々顕著になってきます。

 

コミックス32巻120p-3、4にウイリーという人物が登場しますが、この役名は稽古中のエピソード

には無かったのですが・・・

(約一年前に連載されていた稽古中のエレンの浮気相手? はコンラットという役名だった・・・^^;)

 

この号にも「忘れられた荒野」としてのストーリーがかなり細かく描かれていました。

前回の解説でも触れた事ですが、この連載時点ではおそらく稽古編でコミックスからカットされた

舞台の内容にかかわる演技場面の部分もきちんと描く予定だったと思います。

 

ところが、その後の休載期間を挟んだ時にもう一度再構成したのだと思いますが、結局コミックス

32巻編集の際にはこの舞台上の演技場面も大幅にカットされた上で、一部のエピソードは細かく

再配分された事がお分かりいただけるかと思います。

 

しかも、コマの一部は33巻に転用されているわけですから、かなりの期間の連載時原稿から場面

ごとに再構成した事が窺えます。

 

結果としてこの号からも極一部の場面のみがコミックスに採用されたに過ぎません。

 

これは、やはり「舞台の演出を変える」という黒沼龍三のプランを具体的に表現する為に、一連の

流れで舞台上の演技場面を描くのは無理があるという事でしょう。

 

紫織が登場する場面はコミックスではエピソードの位置関係が少し前後していますが、ほぼ同じ

意図での使われ方なので特段の改稿には当たらないと思います。

 

もっとも特徴的な改稿部分はスチュワート役のサクラコージが、真澄の視線がマヤのみに向いて

いる事を気にするという描写をすっぱりと削り落としている事でしょうか。

 

連載時原稿でのストーリー進行を見ていくと将来の伏線としてのエピソードになる場面が幾つか

ありますが、真澄、マヤ、紫織、サクラコージの関係性においてはややふらつきがみられるので

この後のストーリーをしっかりと構成する為には一度全体の流れを咀嚼して把握し直す必要が

あったとみるべきでしょう。

 

作者にとっても連載でのストーリーの面白さの追求や、雑誌の売り上げに貢献する意味でも読者

の興味を掻き立てる必要があるので、三角関係や四角関係の描写が過剰に意味ありげな描かれ

方をしている面もあるのだと思います。

 

コミックス32巻134p以降のスチュワートによるジェーンの人間教育の場面でこの号の一部の

コマが採用されていますが、ジェーンがスカーフの匂いを嗅ぐ描写はすべて描き替えています。

 

連載時原稿では上記の通り常にスチュワートがジェーンの傍らに居ますが、コミックスでは床に

あるスカーフを嗅ぐジェーンの姿だけが描かれており、意図的にスチュワートの姿を描いていない

ように思います。 (セリフは空白コマの形で書いている)

 

これは、あるいは“紫のバラのひと”の正体がマヤに気付かれる為のアイテムとしてのスカーフを

強調する意図だったのかもしれません。              ・・・(^_^;)?

いうまでも無いと思いますが、この場面の絵は採用コマ以外はすべて新たに描いたものです。

 

いずれにせよ、コミックスではサクラコージの真澄の視線に対する意識の部分はばっさりと削られ

て、代わりにドラマチックな停電のエピソードが追加された格好になります。

 

次回はいよいよ「嵐の開演初日編」完結になります。

途中の注釈でも少し触れましたが、次号にもかなりの改稿があります。

 

近頃は蒸し暑くてパソコンに触れる機会が激減しているので更新が極端に遅くなっていますが、

気長に見守ってやって下さい。  ・・・(^0^;;;)               ←滝汗;;;

 

 

  解説

 

 

無論、近頃といっても1985年

当時の事なんですが・・・(^0^;)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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06/06/16 更新 記述の追記と修正 

06/06/16 解説・注釈の追記と記述の修正

06/06/16 解説・注釈の追記と記述の修正

                                  

                 

             

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