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読み始めたら止まらない! 大河解説ロマン ガラスの改稿 狼少女ジェーン 5 上演の行方編 |
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〜 ガラスのように もろく壊れやすいシナリオ ひとはみな素顔を隠して それをえがく 〜 |
第11章 紫の影 6 狼少女ジェーン 5 上演の行方編 |
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2006/03/01 up 06/04/12 更新 追記とレイアウト変更
あらすじ
「忘れられた荒野」の通し稽古は円城寺まどかや駆けつけた藤本、 野次馬の見物人たちの見詰める中、無事に終了した。
しかし稽古場に現れた大沢社長は芸術祭の参加作品は 『イサドラ !』になったとの決定を伝えた。
ただし、特別規約として審査員の半数以上が認めた場合は 芸術祭参加の道もあるとの言葉にマヤをはじめ役者たち は希望を捨てずに挑戦することとなった。
新たに起用された素人役者たちも自分達の芝居の面白さを知り、改めて 「忘れられた荒野」上演への意欲が湧きあがっていた。
ガラスの仮面のコミックス第31巻をお持ちの方は本をお手元になさってお読み いただけば注釈のコマ番号が参考になるかと思います。 ・・・<(_ _)>
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花とゆめ1985年3号はコミックス31巻冒頭のページに該当します。 しかし、絵は同じものですがセリフはかなり違っています。
速水真澄 正面 (大都芸能社長室) 5p−1 「大沢演劇事務所のアカデミー芸術祭参加作品は『イサドラ !』だと?」
真っ黒バックのコマ 左隅に水城冴子 5p−2 「はい」 「黒沼龍三氏演出の『忘れられた荒野』も出品予定ですが」 「こちらは特別参加規約にかなえばということで 正式に参加できるかどうかは審査員会議の発表をみるまではわかりません」
デスクの速水真澄と脇に立つ水城冴子 (背景が2コマまたぎ) 5p−3 「そうか・・・」 「だいたい予想通りだな」 「はい」
(5p−4の背景コマがヨコに一杯までアリ (コミックス5p−5 の真澄の表情は加筆) 「今の所前評判が高いのはこの『イサドラ !』と円形座の『千億の瞳』 劇団星雲の『深海女』」 「日帝劇場西宝せいほう公演の『エレクトラ』 松川劇団の『翼の記憶』などです」 「とくにこの『イサドラ !』と松川劇団の『翼の記憶』が有力視されています」 「そうか」 ──────────────────────────────────────── 窓辺から外を見る真澄 手にはタバコ (2コマまたぎ) (芸術祭特別参加の審査・・・か) (この都会も荒野のようだな) (あの少女にとって・・・)
真っ黒バックの縦細長コマに真っ白水城冴子 (無表情)
ビル街の俯瞰風景 (真澄視点で) (チビちゃん・・・)
黒沼のひげの口元 ソファの背もたれに肘で体を預けたポーズ 「では アカデミー芸術祭に参加が決まるまでは劇場は借りられないというんですな 社長」
大沢社長 「あたりまえだろう 黒沼くん」 「参加できなければ『忘れられた荒野』の芝居はとりやめだといったはずだ」 ──────────────────────────────────────── デスクの社長と立ち上がりソファの背もたれに手を掛けた黒沼 (大沢事務所社長室俯瞰) 「上演できるかどうかもわからない芝居のために今から劇場など予約できるものか」 「芸術祭の参加申し込み用紙に 上演する劇場を書く欄があることを承知でおっしゃってるんですな 社長」
真っ黒バックに真っ白社長 デスクの書類を眺めながら・・・ 「ま 勝手にやりたまえ」 「きみはいつだって わしのいう事はきかんのだからね」
半身の黒沼 「そうですか」 「おれに自分で劇場を探せということですね」 「では ありがたく勝手にさせてもらいます」
天井 「ただしいっとくがな 黒沼くん」 「たとえ劇場がみつかっても審査で落とされたらその責任はきみがとるんだぞ」 「公演中止の時は劇場に対する損害はきみが負うんだ」
社長横顔 手に葉巻 「もし審査に受かったとしても予算は少ない」 「万事そのつもりでいてくれたまえ」
黒沼 半身でドアを開きつつ・・・ 「ええ あなたの考えはよくわかっていますよ」
社長の後ろ頭なめてドア パタン ──────────────────────────────────────── 発声練習する役者たち あーーー
床で柔軟体操する動作を止めたマヤ と助手 「みんなこのあいだの通し稽古以来すごく熱心ね」 「ああ 発声練習や柔軟体操もいやがらずにやるようになったものな」
書類を持つ助手 床で柔軟体操する役者たち 俯瞰 「あー みなさん我々のやる芝居の劇場が決まりましたのでおしらせします」 「信濃町の雨月会館です」 「雨月会館? 誰か知ってる?」 「さあ」
女優とマヤ 俯瞰 「マヤちゃ・・・じゃなかった ジェーン黒沼先生がお呼びよ」
マヤと黒沼 俯瞰 「お呼びでしょうか?」 「ああ この前の通しのとき気づいたことをちょっと話しておこうと思ってな」 ──────────────────────────────────────── タバコを灰皿でもみ消す黒沼の手 17p−1 セリフは違う 「まずきみのジェーンを通してみた感想だがな北島くん●●●●」
キョンマヤ 17p−2 「はい」
黒沼 ややアオリ 17p−3 「都会の狼だな」 「野生の匂いがしない」
真っ黒バックにとげとげフラッシュ 青筋頬汗のマヤ ややアオリ気味のカット (17p−4 背景のフラッシュのみ 描き替え)
頬汗一筋マヤ アップ (このコマ以降は全く同じ) (都会の狼・・・)
天井 「野生の狼の猛々しさ」 「人間社会の中での強烈な孤独」 「人間への憎しみ 猜疑心 おそれ」 「とまあ そんなものが足りんのだ」 「料理でいえば調味料や香辛料といったところか」
黒沼 小アップ ややアオリ 「どんなにきれいにできていても味のない料理くらいまずいものはない」 「もっと調味料の研究をするんだな」
腰の前で組んだマヤの手 「はい・・・」 ──────────────────────────────────────── 黒沼とマヤ バックにマヤの演技2シーン (このペ−ジはコミックス18pと全く同じ) 「それから芝居のはじめの方で姉が死んで泣くシーンがあったな」 「2幕でスチュワートが死にかけるシーンでも泣くな」 「ええ」 「きみのジェーンはこの泣きわけができていない」 「泣きわけ?」
真っ黒バックに黒沼の足 (以下3コマまたぎで青筋マヤの上半身) 「はじめは狼として泣き」 「つぎは人間の心で泣くのだ」
真っ黒バックに黒沼 俯瞰 「この2つの泣き方にジェーンの心の成長があるんだ」 「それができなければこの芝居は半分死んだも同じだ」
黒沼の目元アップ 「ま ジェーンを完全につかめたらそんなことは苦もなくできるだろうがな」
頬汗のマヤアップ (ジェーンを完全につかめたら・・・) ──────────────────────────────────────── 真っ黒バックにマヤ 19p−1 (はじめに狼として泣き) (つぎは人間の心で泣く・・・)
空白コマ にフラッシュで 19p−2 (今のあたしは都会の狼・・・ !)
マヤ横顔アップ 19p−3 (野生の匂い・・・) (どうすれば・・・)
CAFe エイボン 外観 ← 店の看板がこうでした・・・(^o^;) 「ぼくに話というのはいったいなんですか?」
店内の客席 奥に黒沼 女給 手前にサクラコージ 「ああ コーヒーをもう一つ追加」 「コーヒーでいいかね?」 「はい」 ──────────────────────────────────────── 天井のランプ 「この前の通しの感想だが」 「きみはスチュワートという男をどう思っている?」 「は?」
汗一滴サクラコージ コーヒーをテーブルに置く女給 黒沼の後ろ頭 俯瞰 「若くて研究熱心で情熱的で そのため頑固で」 「それでいて世間の常識を無視しきれない弱さももった青年だと思います」
手前にコーヒーカップを持つ黒沼の手 画面奥にサクラコージ 「彼の学説についてはどうだ?」 「たとえ野生の狼として育っても人間は人間」 「人間社会にはいれば人間にもどるという説ですか?」
汗一滴のサクラコージアップ 「そうですね」 「時間はかかるかもしれませんが努力しだいではそうできる可能性も・・・」
黒沼 目元に光 「そうできる可能性・・・かね?」
空白コマ わははは 「黒沼先生・・・!」
コーヒーカップをソーサーに置く黒沼の手 「きみはスチュワートの学説を信じとらんのだな」
! サクラコージ 左目のアップ ──────────────────────────────────────── コーヒーカップを口元にした黒沼 アップ 「スチュワートを演じるものがスチュワートの学説に疑問をもっとる」 「どうりで演技に説得力がないはずだ」
青筋のサクラコージ 目元のアオリアップ
黒沼と青筋サクラコージ 「演じる役者が信じていないのにどうして観客を説得できる」 「きみはスチュワートを演じてはいるが理解してはいない」 「そうだろう? 桜小路くん」
サクラコージの震える両腕のアップ 「はい・・・」
黒沼アップ 2コマまたぎ 「スチュワートのセリフを信じこめ !」 「心底からな」
「彼はその学説にしたがってジェーンに人間としての教育をしようとしているんだ」 「土台がふらついていたのでは芝居全体がふらついてしまう」 ──────────────────────────────────────── 店内の天井と窓 「スチュワートの信念がこの芝居の要なんだ」 「いいか わかったな」 「はい」 「よし ではいって稽古してきたまえ」
まだ座っている黒沼と 立ち上がり帰りかけたサクラコージ 俯瞰 「それからスチュワート・・・」 「いや 桜小路くん」 「はい?」
コーヒーを飲む黒沼のアップ 「あの北島マヤと昔なにがあったかしらんが」 「この際きっぱりと私情は捨てるんだな」
! 青筋頬汗のサクラコージ
手前にトーン塗りつぶしの黒沼横顔アップ 奥に立つ青筋頬汗のサクラコージ (真っ黒バックでサクラコージの頭にフラッシュ) 「この前の通しじゃまだ誰も気づいとらんようだが」 「このままではいずれ感情が表に出ることもないとはいえん」 「舞台の上ではスチュワートとジェーンなんだ」 「それを忘れるな」 |
コミックス31巻5p 「大沢演劇事務所のアカデミー芸術祭参加作品は『イサドラ !』に決定か・・・?」
「 はい」 「同じ事務所の『忘れられた荒野』は社長と演出家黒沼龍三氏の意見がおりあわず」「条件つきの上演です」
「条件とは?」 「アカデミー芸術祭一般参加部門で参加が認められれば上演させるそうです」 「芸術祭は一劇団一作品の参加が通例です」 「黒沼氏の芝居の参加はむずかしいものと思われます」
「それで劇場は決まったのか」 「雨月会館に決定いたしました」
「雨月会館?」
エレクトラは黒沼龍三登場編で、亜弓の次回作の役名だったが、28巻の編集時点ですでにボツになっているので、アカデミー芸術祭参加作品の題名に使ったのでしょう。 ・・・(^_^;)
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ さすがの黒沼龍三も面と向かっては言いにくい話らしく、このページではサクラコージと目線を 合わせずに終始コーヒーカップを口にしたまましゃべっています・・・(^_^;)
直前に呼び出したマヤにはこの件は一切触れておらず、サクラコージにだけ一本釘を刺すあたり 鬼将軍にも案外デリケートな面もあったのですね・・・(^。^;)
マヤには稽古場で話をしているのに、サクラコージにはわざわざ喫茶店で演技指導がてらに、 しかも、サクラコージが帰ろうとする背中に話しかけるあたりは、黒沼なりにかなり細やかに 神経を使っていたわけでなかなか興味深い場面だと思います。 ・・・(^0^) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ |
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サクラコージ 立ち姿 俯瞰 (背景に頬汗サクラコージの表情アップ 2コマまたぎ) (見透かされていた・・・ !) (スチュワートの演技を通してぼくの気持ちを・・・・・・ !) (スチュワートの仮面をかぶったつもりでいても表情が透けてみえていたなんて・・・・・・ !)
(なんてバカだ ぼくは・・・ !) (役者失格だ・・・ !)
大沢ビル稽古場 立花ミレイ先生とまどか他の役者たち 11p−1 に採用 (このコマは見開きページの中央にあります) 「はい! 1・2・3 2・2・3」 パン パン 「そこでアンサンブルAグループ後ろへひく !」 「イサドラ 前へ出て !」 「2・3 はい!」
踊るまどか 11p−2 右手の先は加筆、背景の模様はカットして採用
女性二名 11p−3 と同じ構図の絵だが顔が違うので完全描き替え 「すごいわね 最近の円城寺さん」 「踊りに一段とみがきがかかってきたみたい」 ──────────────────────────────────────── 次ページと次々ページは31巻12pと13pに相当します。 マヤを意識して稽古に熱の入るまどかのダンスレッスン中の心情描写場面です。
次のページはコミックス31巻6pに相当します。 ・・・改稿の影響でページが前後します・・・(^_^;) ──────────────────────────────────────── 雨月会館の外観 6p−1 ボロッ
雨月会館看板 6p−2
頬汗マヤ 後方に役者たち 6p−3 印刷の都合か右端の人物が切れていますが、 「しかし・・・ひでぇ所だな」 連載時原稿ではちゃんと端まで描かれています 「5年も前に廃館された映画館ですって」 「これが舞台?」
各所に役者たち 劇場内の俯瞰 「わっ! 壁がくずれてる」 「おい うかつに座るなよ イスがこわれてるぞ」 「天井 しみだらけだぜ」 ──────────────────────────────────────── 次のページからはやや再構成しています。 (数コマカット)
大穴の開いた舞台 それを覗き見る役者たち 7p−2 「これが舞台? 薬箱と松葉杖がいるぜ こりゃあ」
エレン役の女優 7p−3 「『イサドラ!』は大都劇場で演るんでしょう」 「同じ事務所なのにあんまりだわ」
青筋頬汗のマヤ アオリ 7p−4 (ここで『忘れられた荒野』のお芝居を・・・?)
上を見上げる黒沼と役者たち ここ以下はカット 「まあ上演までには修理すればなんとかなるだろう」 「ひまなとき腕に覚えのあるものは修理を手伝ってくれ」 「修理費をあまりかけるわけにはいかんのでな」
笑顔で振り返るマヤ 汗一滴 「あたしペンキくらい塗れます」 「前に仲間たちと地下の喫茶店を劇場につくりかえたときも・・・ねえ桜小路くん」
沈んだ表情の頬汗サクラコージ 「ああ そうだね」 ──────────────────────────────────────── 手前にマヤの横顔 奥に向こうを向くサクラコージ ここ以下もカット フイ
手前のサクラコージの肩なめて奥に不思議顔のマヤ 汗一滴 (2コマまたぎ) (へんなの・・・・) (気のせいかな・・・)
隣のコマからつながった青筋頬汗下向きのサクラコージの表情 (最近なんだかあたしをさけてるみたい・・・)
客席を見渡すマヤ 7p−1 (でも) (ほんとうに演れるのかしら こんな所で・・・)
「なるほどここがあなた方の芝居小屋というわけですか」 カット カタン 言葉と物音に振り返るマヤ ──────────────────────────────────────── 真澄とまどかと他の人たち 「速水さん!」 (19p−5 に背景の建物の壁とマヤのセリフをカットした上で大沢社長と藤本他を加筆して採用)
口元にこぶしをあてた頬汗マヤ 後ろに黒沼 「円城寺さんも・・・ どうしてここへ・・・?」 「やあ あんたか」
真澄と黒沼 背景にシルエット4名 俯瞰 「お久しぶりです黒沼さん ちょっと近くまで通りかかったもので」 「ごらんの通りの所だ」 「まあかけてくれ といいたいがイスがこの通りだからな」
連れの女性二名 「わたし達『イサドラ !』の講演を大都劇場でやるので その打ちあわせと下見をしてきたところなの」 「速水社長とは劇場でお会いしたのよ」 「わたし達これからお食事にいくの !」
手前に顔を見合す連れの女性たち 奥に素人役者たち 「帰り道だからって寄ってみたけれどひどい所ねえ」 「ほんと!」 キャッ キャッ 「観客はねずみやゴキブリばかりよきっと」 ──────────────────────────────────────── ゴキブリをつまんだつるはし男と連れの女性A 「ほらよ 観客」 「は・・・!」
放り投げられたゴキブリ 飛び散る汗 ギャーーー キャーーッ
舞台に手を掛ける真澄 俯瞰 「なるほど こいつはひどい・・・」 「これじゃあ まともな芝居は・・・」
振り返る真澄
手前にシガーケースからタバコを取り出す真澄 奥に顔真っ赤マヤ 「まあ きみほどの天才なら舞台の大穴くらい気にもしないだろうがね」
顔真っ赤で出口を指すマヤ タバコに火をつける真澄 連れの女性二名 「速水さん あたし達をからかうつもりで寄ったんならさっさと帰ってください」 「いわれなくても帰るとも ここには座るイスもなさそうだしね」 「場内禁煙! さっさと出てってください!」 「すごい あの子速水社長にあんな口きいて」 「どういう関係なの?」 たら〜〜
ライターの蓋を閉じる手 パチン 「これは失礼」
シガーケースを胸の内ポケットに仕舞う真澄 頬汗一筋で見守るマヤ ──────────────────────────────────────── 優しげな真澄のアップ 25p−1 に「なにも・・・」を加えて採用 「狼少女 せいぜい頑張るんだな」 「『紅天女』のためにもな」 「チビちゃん」
歩き出す真澄 びっくり目のマヤ 「きみが元気そうなので安心したよ」
手前に頬汗マヤの横顔さらに汗一滴たらし 奥に向こうへ去る真澄 (速水さん・・・) (まさか本気でいうわけないわよね) コッコッ
破顔のまどか 「あきれたわ こんな劇場でほんとにやる気なの」 「芸術祭の審査員の先生方はなんと思うかしらね」 ホホホ 「せいぜい芝居だけでも恥をかかないようにおやりになってね」 ホホホホ
手前に黒沼 奥に怒りの青筋まどかと連れの女性たち 「ああ そうさせてもらうよ」 「あんた達もせいぜい恥をかかないように舞台だけでもりっぱなものにしてもらうんだな」 「なんですって!」
バン 激しくドアを叩く手 ──────────────────────────────────────── 扉を開いて待つ真澄 「出口はこちらですよ みなさん」 「ぼくはお腹がすいてしかたないんですがね」
空白コマ 「え ええ」 「そうでしたわね」 ゾロゾロ
手前に握手する手 その奥に苦虫噛み潰した顔のマヤ 「健闘を祈っていますよ黒沼さん」 「ああ あんたに笑われない舞台をつくりたいね」 「初日には伺いますよ」 「あのチビちゃんがぼくを招待してくれるそうですから」 「たしか一番いい席をプレゼントしてくれるんだったね?」
眼をきつく閉じて大口開けた前のめりの頬汗マヤ 両こぶしを握ったポーズで アップ 「ええ ちゃんとあのひとの分と2枚」 「紫織さんの分と チケット2枚 あたし送りますから」
! 真澄の背中 25p−5 と同じ構図ですが別の絵です ビク─ ──────────────────────────────────────── ポカンとしたマヤ 26p−1 「あ・・・?」
死んだ眼の真澄 アップ 26p−2
マヤと真澄 26p−3 「速水さん」
真澄の足 26p−4 「それに・・・」 コミックスでは「それは・・・」 「気を遣ってくれてありがとう・・・」 「きっと彼女も喜ぶだろう・・・」
(連載時原稿のこのページ左端は花とゆめ2月増刊号の広告スペースです。 従って、コミックス26p−5はこれを利用した加筆部分です) ──────────────────────────────────────── (このページはコミックス27p と同じです) 真澄の薄白目の横顔アップのイメージカットを背景に真澄の背中と車の周囲の人たち
マヤと婦長他 (速水さん・・) (あんな表情はじめて・・・)
紅レストラン 外観 「まったくひどい劇場でしたね」 「あんな所に客がやってくるもんですか」
語らう人々 中央に白目真澄 「第一舞台の大穴・・・ ! ありゃあひどい」 「芝居なんかできませんね あれじゃあ」 「あんなのでアカデミー芸術祭に参加しようってんですから」 ──────────────────────────────────────── ワイングラスを嗅ぐ真澄横顔 28p−1 とまったく同じ絵のようだがワインの液面を修正している ホホホホ ハハハ
木々をなめて天空の日輪
稽古場の大沢スタジオのビル外観 「ジェーン 電話」 「はい」
喜び顔で両手で受話器を持つマヤ 「聖さん・・・!」
開放型公衆電話のヒジリン ・・・こちらもなにげにうれしそう・・・(^o^;) 「きょう雨月会館にいってごらんなさい」 「黒沼先生やお芝居のお仲間と」 「おみせしたいものが・・・」
汗一滴マヤ 「雨月会館へ・・・?」 チン・・ ・ ──────────────────────────────────────── 雨月会館正面入り口前の外観 周囲に工事関係の作業員たちと足場とトラック2台
マヤ と黒沼 とその他 「えっ?」
ぴかぴかの雨月会館看板 29p−2
入り口でガラスの中を指し示す名も無き脇役の男 (たぶん助手) 「おい ちょっときてみろよ !」
マヤと黒沼の横顔アップ 「ああっ・・・!」 (29p の絵は採用コマ以外は全て描き替えています) ──────────────────────────────────────── ぴかぴか場内 30p−1 にセリフを削って採用 「これは・・・?」
場内のマヤ 黒沼 その他 30p−2 に黒沼のズボンの黒ベタとシャツのトーンを加筆し採用 「すげえ・・・座席までいれかえられてら・・・」 「みて 舞台が修理されてるわ・・・」 「どうなっているんだ? これはいったい・・・」 ──────────────────────────────────────── 現場責任者の男 後ろに作業員二名 「ある人物から依頼がありましてな」 「この劇場のオーナーと話はついているし費用も先払いだということで・・・」 「修理が終わったら新館同様になりますよ」 (31p−1は描き替え)
マヤ 31p−2 背景の舞台とバラの花束は描き直している(花束はもっと遠かった) 「あ・・・?」
舞台上の花束 アップ 31p−3 「紫のバラ・・・!」
マヤ サクラコージ 黒沼他 31p−4 黒沼のシャツのトーンは加筆 「紫のバラのひとだわ・・・ !」 「あのひとだわ! あのひとがしてくれたんだわ !」 ──────────────────────────────────────── (このページはコミックス32pとまったく同じですが一応記述します) 震えマヤ 俯瞰 (背景の舞台は2コマまたぎ) 「劇場の修理をなにもかも・・・」 「あたしのために・・・」
「あたしのやる芝居のために・・・」
メッセージカード いつもあなたを見まもっています ──あなたのファンより──
花束抱えのうれし泣きマヤ (ああ ありがとう・・・) (あなたはいったい誰ですか) (紫のバラのひと・・・) (どんな感謝の言葉もあたしの心をいいつくせない) (いつもどこかにいてあたしを見守っていてくれる・・・・・・ !)
バラのアップ 真っ黒バックにフラッシュセリフ (ひとめあなたに会いたい・・・ !) ──────────────────────────────────────── 頬汗黒沼と役者たち 34p−1 「おれ達ほんとにこんな所で演るのか・・・?」 ガヤガヤ ザワザワ
花束を抱いたマヤのアオリ 後方に役者たち 34p−2 (ありがとう 紫のバラのひと・・・ !) (あたしあなたの心のこもったこの劇場で) (狼少女ジェーンを演ります・・・ !)
柱言葉 大沢事務所の意向で困難になった「忘れられた荒野」の上演。 しかし紫のバラのひとは再び現れた !! ・・・でした。
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コミックスではサクラコージ の方が積極的に修理を言 い出すのだが ・・・(^_^;)
スーパーヘビースモーカー のマスミンには薄すぎる ケースです。 ・・・(^。^;)
マスミンは素直にマヤの 言葉に従い結局タバコに 火はつけませんでした。 ・・・(^_^;)
連載時原稿ではグラスの 縁のあたりまでなみなみ とありました。 ・・・(^o^;)
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ というわけで、コミックス8p〜10pのマヤのモノローグから黒沼と役者たちの会話に至る部分は 前回の狼少女ジェーンその4で述べた通し稽古後の素人を含めた役者たちの気持ちの変化や 事務所との対立の部分に関わるカットエピソードを補完する為の加筆です。
14pと15pの雨月会館での稽古場面のほとんどは新規加筆ですが、14p−3、14p−4 のコマには 狼少女ジェーンその4で述べた花とゆめ1号の黒沼と医者の会話場面が、 15p−2、15p−3、 15p−4 のコマには同じく1号のつるはし男の演技場面のコマが転用されています。
ご覧の通り連載時原稿を生かしながらも全体として枝葉をカットしストーリーを単純化しています。 29巻で改稿された部分の影響で桜小路優とマヤの気持ちに関わる部分がカットになり、黒沼と 大沢社長の確執の部分や芸術祭参加の方法論に変更があるためそこに絡む部分にも修正が 施されています。
雨月会館での真澄の登場に大沢社長と藤本が同行している点がコミックスの再構成の上での 最も大きな変更でしょうか。 この時点でコミックスでは大沢社長と黒沼龍三の約束 (素人役者を使うなら上演中止、ただし、 芸術祭の一般参加部門での参加が認められれば継続できるという条件)によって中止が決定し、 「忘れられた荒野」から大沢事務所が手を引いたことが明らかにされました。
しかし、この条件は31巻冒頭で水城冴子の真澄への報告の形ではじめて読者に示したもので あり、非常に唐突に決まった約束事ですからかなり無理があります。
30巻で通し稽古前に黒沼が酔っぱらっていた理由は社長の前で土下座して素人の起用を押し 通した時にこの条件を付けられた事に怒って自棄酒におぼれたということでしょう。
いかにも取って付けた様な展開なのでコミックス8pのマヤのモノローグと9pの黒沼の決意の セリフなどで補完して、20pでの大沢社長の上演中止決定発言へと繋いだわけです。
一方、この場面では速水真澄のセリフが大幅に増えましたが、これはマヤの芸術祭参加が認め られなくても演劇協会賞の受賞の可能性はあるという形に変更になったわけで、実はこの事が 今後の大幅なストーリーのカットにつながる直接的な要因なのです。
ここで増えたセリフは芸術祭の参加に関する手続き上の変更を説明すると同時に、組み直した プロットに基いてあらたに伏線を張り直したように感じます。
33pの真澄と英介の会話場面のページもコマを再構成して描き替えています。 このあたりの、コミックス31巻での描写は後の展開で重用になる部分を小刻みに残しつつ、 枝葉の部分は大幅にカットされます。 そのひとつは『イサドラ !』の初日における騒動につながるのですが・・・(^_^;)
連載時原稿では黒沼と大沢社長との確執だけではなく藤本とも演出家同士の対決のような 成り行きになっているのでこれからは改稿のポイントも段々複雑さが増して来ます。・・・(^o^;)
4号は休載です。
5号の冒頭はコミックス35pのマヤからの“紫のバラのひと”に対するメッセージから始まります。 38pまではまったく同じですが 39p−3 のコマはパチンコ店二階の大沢スタジオ外観、39p−4 のコマは線路上の電車だった描写をそれぞれホテルと雨月会館外観に描き替えています。
理由は上記改稿の事情に基き稽古場が大沢スタジオから雨月会館に変更になった影響です。 (連載時原稿の流れでは雨月会館は修理途上であり、黒沼隆三と大沢社長の対立も事務所 を出て独自に上演するまでには至っていませんので稽古場はまだ大沢スタジオでした)
この後マヤと黒沼の稽古場風景をはさんで伊豆の別荘での真澄と聖の会話場面になり、45p の“人を愛すれば不器用になる”論までは連載時原稿もコミックスもまったく同じです。
46pの聖と真澄の会話で語られた“全日本演劇協会賞狙い”と“注目させるにはきっかけが 必要” は上記改稿の事情に基く加筆挿入です。 従って聖唐人の名言「あなたの中の海は広すぎてぼくにはみえません・・・」もコミックスでの 加筆ということです。
この次のページにあたる47p (聖が車で去る場面や真澄の「今のおれは浅瀬の小船だな」 発言)と48p(真澄の胸中「すべてがもう遅い・・・」と汗だくのマヤと黒沼の稽古場面)は連載時 もコミックスでも全く同じです。
ここで、コミックスのマヤと黒沼の描写が異常に汗だくなのは稽古がハードだった為だけでは ない事がこの後明らかになります。 ・・・(^o^;) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ |
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49pからは連載時原稿とコミックスでは大きく事情が違ってきます。
稽古場の壁面に汗みどろの助手達 「みてよ あの子すごい汗・・・」 「むりないよ この暑さじゃあ」 「おまけにクーラーが故障ときてやがる」 むんむん (壁面にクーラー) 「立ってるだけで汗がふきだしてくる・・・」
汗だくで吠えるジェーン と派手なポーズで台本を投げつける黒沼 おおーー おーーう 「ちがう! そうじゃない !」 「顔がちがう! 表情がちがうんだ !」
自分のスカートのすそをかじる汗だくジェーン がうう・・・ がうう
すそを噛むジェーンのアップ がう・・ がう・・ ・
真っ黒バックに真っ白の汗だく助手二名 ガウ・・
空白コマ うおお・・ わおーーーん おおーーん ──────────────────────────────────────── 黒沼の右腕 握りこぶしのアップ 「もっともっと怒らんか !」 「窮屈な服を着せられて腹をたてろ ! ジェーン」 「人間に腹をたてるんだ !」
汗だくジェーン 横顔アップ おーー・・ん おおーー・ん
後足で立った汗だくジェーン 「その歩き方はなんだ ! ジェーン」 「いくらスチュワートに2本足で歩くことを教えてもらったからといって いまのおまえはまだ心は狼なんだ」 「目的をもった歩き方をするな !」 「ジェーンは人間としての自覚がなくやっているんだ !」
汗だく助手二名 「むずかしいわね 狼少女が人間へと成長していく動き・・・」 「あの演技のどこが黒沼先生の気にいらないんだろう」 「すごくうまく思えるのに・・・」
苦しげな汗だくマヤ はあ はあ
真っ黒バックに真っ白な青筋頬汗サクラコージ (マヤちゃん・・・)
マヤ ふらっと・・・ クラ
黒沼 目元アップ ──────────────────────────────────────── バシャ ジェーンの目元のアップ と水しぶき
バケツを持って立つ黒沼 床にびしょ濡れマヤ 後方に助手たち 「ひ〜〜っ」 ポタ ポタ
走る電車と稽古場外観 俯瞰 ゴーーー カンカンカン
水浸しのマヤアップ ──────────────────────────────────────── 天井 「どうだ すこしは涼しくなったか」 「頭を冷やしたところで泣きの演技をやってみろ」 「はじめが姉が死んで悲しむシーン」 「つぎが2幕でスチュワートが死にかけるシーンだ」
びしょ濡れマヤ 横顔 ゴク
黒沼の手 パァン
四つ這いのびしょ濡れジェーン おお・・−−ん うおお・−−・う おーーん ──────────────────────────────────────── びしょ濡れジェーンアップ おーーん お〜〜ん お〜〜〜ん
黒沼 パン 「スチュワートが苦しんでいる !」
ベッドにすがりつくびしょ濡れジェーン あーー あーーっ スチュアァ スチュワァ
ジェーンの目元アップ スチュワァァ ワァァ
黒沼とびしょ濡れマヤ 「ちがうな・・・」
黒沼 横顔 「とくにはじめの演技・・・」 「姉が死んで悲しむ所・・・」 「野生の狼の悲しみ方はもっとちがう気がする・・・」 「おまえは都会の狼だ」
マヤ アップ (黒沼先生・・・!) ──────────────────────────────────────── 黒沼の右手 指差して・・・ 「どうすれば野生の狼としての悲しみを表現できるか考えてこいジェーン」 「そして狼としての怒りだ」 「心の底からの憎しみ 苦しみ 恐怖・・・」 「それを人間にぶつけるんだ」
黒沼の眼鏡の中の眼のアップ 「それができないかぎりおまえはジェーンは演れん・・・ !」
しょんぼりマヤ 「はい」
マヤ立った もやもや背景 後方に助手たち (野生の狼としての悲しみ・・・) (人間に対する怒り・・・) フラ フラ (いったいどう演れば・・・)
汗一筋サクラコージ (マヤちゃん・・・)
稽古場外観 「さあ! こんどは他のメンバーだ みっちりやるぞ !」 ──────────────────────────────────────── 大沢ビル外観 まどかと他の役者たち 「『忘れられた荒野』のメンバーはえらくはりきっているそうですよ」 「アカデミー芸術祭の演劇部門に特別参加が認められなければ 大沢社長はこの芝居をとりやめるといっているんですものね」 「はたして参加が認められるかしら?」
コーヒーカップ片手にデスクの大沢社長 「どうだね 黒沼くんの芝居は特別参加が認められそうかね」
部下 「素人が8人はいっているというところが少し問題になりそうですが」 「もともとこの芝居は大沢が正式に参加させるつもりだったものです」 「鬼才黒沼龍三 5年ぶりの舞台ということもありますし」 「参加じたいはそれほど無理ではないかと思われます」
大都芸能本社ビル アオリの外観 「黒沼龍三氏に過去演劇賞で演出大賞を2度」 「主演男優の桜小路優は2年前新人賞を受賞」 「主演女優の北島マヤはかつてアカデミー芸術祭で 助演女優賞をとっています」 ──────────────────────────────────────── 書類を手にした水城冴子 デスクに速水真澄 「大沢演劇事務所の『忘れられた荒野』は アカデミー芸術祭特別参加に十分値するものと思われます」 「うむ」
レンガ造りのビルの外観
アカデミー芸術祭実行委員会事務局 のドア わいわい わい
珍しくネクタイ姿の黒沼 周囲に大勢の人々 「おい! 黒沼龍三氏だぞ !」 「げっ! あの鬼の黒沼か・・・ !」 わい わい 「みろよ黒沼龍三だ」 「5年ぶりに仕事をはじめたときいたが 彼もこの芸術祭に参加するのか・・・ !」 ──────────────────────────────────────── 輪になる人々 「大沢事務所の社長は彼の今の芝居を認めていなくて 芸術祭で特別参加が認められれば上演させてやるといってるそうだ」 「なんだって!? じゃあ参加が認められなければ上演できないのか !」 「ああ 審査員達の選考まちだ」
天井と部屋の壁面 (2コマまたぎ) 「芸術祭に参加するには一社一作品とか10年以上の実績のある劇団でなければダメとか」 「いろいろな条件があるが唯一の例外が認められているのが特別参加規約だ」
「これには12人の審査委の半数以上が参加させてもよいと認めた作品にかぎり」 「その資格をそなえているものとして特別に参加が認められるんだ」
黒沼の後姿 「これは黒沼くん・・・ !」 「特別参加に申し込みかね?」
! 黒沼の眼鏡の中の眼のアップ
黒沼と中年の男 後方に大勢の人々 「あんたは権太原さん・・・」 「おい! 演劇評論家の権太原さんだぜ !」 「久しぶりだね? 黒沼くん」 「しばらく姿をみなかったが元気そうじゃないかね」 ──────────────────────────────────────── 権太原 横顔 指で自分のあごを指しながら 「昔はさんざあんたとやりあったものだったね黒沼くん」 「覚えているかね? このあごの傷」 「あんたはわしの劇評が気にいらんといって乱暴したときのものだ」 [きみに殴られたとき階段から落ちてできた傷だ」
黒沼 相手を指差しながら 「そのあとあんたは新聞や雑誌でおれの芝居を徹底的にやっつけてくれたっけな」 「おかげでおれはたっぷりと休養させていただくはめになったよ」
権太原 「英気を養って再出発というところかね」 「ではさっそくきみの新しい仕事ぶりをみせてもらおうかね」 「わたしは去年から芸術祭の審査員をさせてもらっているんだ」
! 青筋黒沼の頭上に
真っ黒バックに権太原のアップ 「きみの芝居は十分検討させていただくよ」 「黒沼くん」
天井 わはははは ──────────────────────────────────────── マヤ 縦半ページ分のアップ 「ええ!? 芸術祭特別参加の選考に落ちた・・・ !?」
サクラコージ 助手 青ざめマヤ 「なぜだ!? 理由は?」 「それが・・・大沢事務所にはいった連絡によると」 「演劇経験のない役者が多数はいっているからというんだ」 「そんなバカな・・・ !」
アカデミー芸術祭実行委員会事務局 のドア
「おしえてください」 ダン 机を叩く手 「どういう理由でぼく達は特別参加を認められなかったんですか !?」 ──────────────────────────────────────── 事務局員に詰め寄るサクラコージ マヤ バイク男 つるはし男 婦長他 脇に局員数名 ズラ 「そ・・・そんなことわたしにいわれても」 「とにかくその 審査の結果では権威あるアカデミー芸術祭に 演劇経験のない役者が多く集まった素人芝居は参加を認められないと・・・」
手前に奥の部屋から顔を出す権太原 ドアの向こうに事務局員 「どうしたんだね?」 「あ! 権太原先生 !」 「審査の結果に文句をつけにきたのかね?」
サクラコージ 真剣横顔 「たしかに素人が8人この芝居に参加していますが」 「それを素人芝居ときめつけるのは軽率でしょう」 「彼らは黒沼先生の演出上 必要な役者たちと判断されたからこの芝居に参加しているのです」
真剣サクラコージ かたわらに汗一滴の不安げマヤ 「ぼくは劇団オンディーヌの桜小路優です」 「2年前の演劇協会賞で新人賞をとっています」 「それからここにいる北島マヤはかつて このアカデミー芸術祭で助演女優賞をとっています」 ──────────────────────────────────────── もやもや背景の空白コマ ザワ
汗一滴 サクラコージ 「演出は黒沼龍三先生」 「ちゃんと演劇教会が認め 名簿にも載っているれっきとした演出家です」 「演出部門で大賞を2度ももらっています」 「それでもまだ素人芝居だとおっしゃるんですか・・・」
汗二滴 とサクラコージの腕 奥に権太原 「本来は大沢演劇事務所が芸術祭に正式に参加する予定だった芝居です」 「それなのになぜ」 「とにかく審査で決まったあとだ !」 「どう文句をいおうと変えられんよ !」
黒沼 横顔 (2コマまたぎで背景と周囲の人々) 「そいつになにをいっても無駄だよ」
サクラコージ 「黒沼先生」
手を広げ皆を誘導する黒沼 権太原に首を向けて 「じゃましたな だがまたくるぜ」 「この礼をしにな」 ゾロゾロ ──────────────────────────────────────── 大沢スタジオ外観 「心配するな みんな」 「芸術祭の正式発表は今月末の31日だ」 「それまでにおれがなんとかもう一度参加ができるよう骨を折ってみる !」
不安げマヤと黒沼 「先生 あの なにかあたしでお手伝いできることがあれば・・・」 「ありがとう 心配をかけるな だがきみじゃ無理だ」
真っ黒背景に黒沼 「芸術祭実行委員会の理事に直接会って話すことができればな・・・」 「あるいはなんとかなるかも・・・」
天井 「実行委員会の理事長というのはエライ人なんですか?」 「あの・・・審査のやり直しをやってもらえるほど・・・」 「ははは そうだな 芸術祭では一番力を持った人物だからな」
頬汗マヤ 「芸術祭実行委員会の理事・・・」 「どうすれば・・・」
マヤ アップ ピンと来た表情で・・・ (速水さん・・・!)
空白コマにフラッシュで (そうだ あのひとなら) (あの人ならきっと知ってるわ・・・ ! きっと・・・!) ──────────────────────────────────────── 夜の速水邸 外観
汗一滴 頬汗一筋で建物を見上げるマヤ (いやだ どうしよう・・・?) (あの速水さんに・・・なんていうの)
汗一滴 頬汗一筋で口元を押さえるマヤ もやもや背景 (あの冷血漢が力になってくれるかしら・・・・?) (ことわられたらどうしよう) (どうしよう またバカにされたら・・・)
呼び鈴に指を・・・ (え・・・ええい ひるんでる場合じゃないわ・・・ !)
ピンポ〜〜〜ン
空白コマ 「真澄様 お客様でございますが」 「誰だ?」
籐の椅子に腰掛け右手にコーヒーカップ、左手に新聞を持って半開きの窓から庭を眺めて涼んで いた風情のポロシャツ真澄の後姿にその後方から・・・ 「それが・・・北島マヤ様ですが」 (マスミンの頭にビビッと模様) ──────────────────────────────────────── 真澄の左腕 汗一滴 若目の女中 「北島マヤ」 「あの子がここへ・・・ !」 「はい」 「どういたしましょう」
頑丈な鉄板状の門扉越しにかすかに見える母屋の屋根を望む頬汗マヤ (速水さん・・・!)
柱言葉 芸術祭参加は絶望か !? 一次選考に落ちてしまった 「忘れられた荒野」は、いったいどうなるのか !! ・・・でした。
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ふう〜〜 (^。^;) ・・・今回はややこしいセリフの多い回でしたね。
この号も結局は黒沼と新キャラ権太原の過去の確執によって「忘れられた荒野」の上演に暗雲が 立ち込めるといった筋立てであり、「ガラスの仮面」の物語としてもストーリーの進行がほとんど 無いので書いてて楽しくな〜〜〜〜い ・・・(>_<;)
当たり前の話ですが一番おいしいところはコミックスに採用されており、改稿部分はいわば作者が 捨てた魚の骨のようなものなので、もともと身が少ないのですけれど・・・ ・・・(^_^;)
はっきり言って今回の改稿部分の解説はドラマチックになる要素が少なくて面白くなかったので、 なかなか集中力が続きませんでした。 ・・・(ーー;)
とりあえず、ややこしい部分を整理してみましょう。 サクラコージのマヤへの恋慕の情をコミックスのアオリと引きにするため強調した。 マヤの方もサクラコージへの意識を強め、より動揺するような描写にした。 主役以外の役者たちの稽古場面をカットし黒沼と大沢社長の対立を単純にした。 『イサドラ!』に絡む人間関係を圧縮再構成して筋立てを簡略化した。
この号の柱に30巻の発売予告があるのでこの時点ではまだ29巻での変更点までが影響して いることになります。
そしてこれから30巻での変更によって連載時原稿にも影響が出てくることになり、ますます大幅 なエピソードのカットへとつながるのです。 ・・・(^0^;)
残念ながら今回はここまでです。 前回の予告やジオログではミルキーウェイにも言及していましたが、思った以上にセリフや 状況描写に文字数を要したのと、改稿の意味合いや全体の流れを把握するのに手間取った ため、書き出すのに時間がかかってしまいました。 ・・・(T_T)
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