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読み始めたら止まらない ! 大河解説ロマン ガラスの改稿 狼少女ジェーン 姫川亜弓の活躍編 |
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〜ガラスのように もろく壊れやすいシナリオ ひとはみな素顔を隠して それをえがく〜 |
第11章 紫の影 9 狼少女ジェーン 8 姫川亜弓の活躍編 |
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2006/03/25 up 06/04/12 更新 新事実の追記二件と記述全体の修正及びレイアウトの変更
あらすじ
速水真澄が影の部下聖唐人に命じて段取りした裏工作による「忘れられた荒野」上演への 道は黒沼龍三の意に染まぬ形だったため失敗に終わった。 黒沼は独自にアカデミー芸術祭参加への手を打っていたのだがこれも失敗に終わる。 大沢社長は稽古場の明け渡しを迫るが、黒沼は芸術祭参加は認められずとも 「忘れられた荒野」上演への希望は捨てていない事を宣言する。 しかし芸術祭への参加が出来なければマヤに演劇大賞獲得の可能性は無くなる。 『紅天女』への夢が絶望的になったマヤはふらふらと“アカデミー芸術祭文化事業団の 集い”のパーティー会場のホテル前へとやってきてそこで偶然姫川亜弓と出会った。
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花とゆめ 1985年 8号
奥に振り返りポーズの頬汗マヤ 左手前に亜弓の大アップの横顔 後方にはエントランス 「亜弓・・・さん・・・」 「マヤさん・・・」
亜弓 ふと・・・ (左腰に大輪の黒バラ、裾に2段のフリルをあしらったドレス姿) 「どうしたの? こんなところでいったい・・・」
涙ぐみの青筋震えマヤ アップ (マヤは普段着 膝下丈のパンツをサスペンダーで吊っている) 「う・・・」
キイー・ 音に振り向くマヤと亜弓 はっ
白目まどか 背景に車 (胸に花をあしらった細かい斑点模様の膝下丈のチャイナ風のスーツ) バタン
右手にまどかの横顔アップ 中央奥に亜弓 その横に青筋頬汗のマヤ 「あら! あなたもきていたの」 「あなたがきょうのパーティーに用があるとは思わなかったわ」 「円城寺さん・・・・・・ !」
顔をそむける青筋頬汗マヤ
ふと・・・それをみる亜弓の表情のアップ
プリンセスホテル入り口の外観 奥にビル群の夜景 (全体に引いた絵) 「まあ お久しぶりね 亜弓さん」 「ずっと以前パーティーでお目にかかったかしら」 「ええ お元気そうですわね 円城寺さん」 ──────────────────────────────────────── 微笑の亜弓のアップ 「この度は『イサドラ !』をミュージカルでお演りになるとか」 「今からアカデミー芸術祭最優秀賞の有力候補とかきいていますわ」
大口に手をかざし、のけぞって笑うまどか 「まあ おほほ・・・」 「困ったわ 期待ばかり大きくて」
まどかと亜弓 俯瞰 「よろしかったら舞台を観にいらっしゃいません?」 「招待しましてよ」 「初日はいかがかしら」 「ありがとうございます」 「ぜひ・・・」
すかした表情のまどかの横顔 奥に赤らむマヤ (視線は下にそらしたまま) 「あなたも舞台を観たいのなら招待状を送ってさしあげてよ」 「黒沼先生の分もね」
奥に歩き去るまどか 手前に青筋頬汗震えマヤのアップ オホ ホホ・・
ダッ 駆け出す汗一滴のマヤ 後姿 ──────────────────────────────────────── 亜弓 大きく開いた口で・・・ アップ 「まって・・・!」
後方に向こう向きのままの亜弓 手前に頬汗青筋のマヤ 前のめり姿勢で停止 「アカデミー芸術祭に参加できなくなったそうね」 ピク 「きいたわ」
奥に青筋頬汗の振り返りマヤ 汗二滴 手前に眉をしかめ眼を閉じた亜弓のアップ 「亜弓さん・・・」 「黒沼先生は今の事務所を出ても芝居を上演するといっているそうね」 「あなたもわたしとの約束を忘れたわけではないでしょう?」
マヤの手首をつかむ亜弓の手 「さ! わたしと一緒にいらして・・・ !」 「あ・・・!」 「亜弓さん・・・ !」
天井のシャンデリア (4基) ──────────────────────────────────────── パーティー会場 正装の男女多数 奥にひな壇がありマイクを前に挨拶している人がいる 「芸術の秋と申しますがアカデミー芸術祭はTVや映画をはじめ日本の演劇 芸能などの文化の発展をめざし・・・」 わいわい ガヤガヤ
ひな壇の人物達 (5名、うちひとりはマイクの前でしゃべっている) 「今 挨拶しているのがアカデミー芸術祭の理事長よ」 「その右側にいるのが主催者であるフジミ食品の社長に宣伝部長」 「それに芸術祭担当の企画部長」
白髪に山羊ひげの和装老人 片眼鏡に口ひげの白髪紳士 (二人とも頭頂はハゲ・・・(^_^;)・・・) 「それから左側にいるのが全日本演劇協会の理事長と会長」 ──────────────────────────────────────── 派手なドレスで派手に髪を結い上げた初老の女性 「まあ! 亜弓さん・・・」
その女性 亜弓 亜弓に手を添えられた汗一滴のマヤ 背景に他の人々 「あいかわらずおきれいねえ」 「ほんとに歌子さんも姫川監督も鼻が高い・・・」 「あら こちらは?」 「紹介しますわ 北島マヤさん」
亜弓とその女性 「わたくしのライバルですわ」 「え?」 「『紅天女』 もうひとりの候補ですの」
真っ黒背景に真っ白マヤの横顔 (亜弓さん)
ハデにびっくりするハデな女性 「ええ!?」
亜弓に集まってくる男性多数 俯瞰 「やあ亜弓さん きょうは姫川監督や歌子さんは一緒じゃないのかね」 「父は今スペインでロケですわ」 「母はお正月映画の仕事で撮影所にこもりきりですの」
グラスを手にした中年男性(周りに男性客多数) 左手前にやわらかな笑顔の亜弓 「こちらは・・・?」 「ええと たしか・・・」 「あら 舞台をごらんになってご存知のはずでしょう」 「今年のはじめ日帝劇場で演った『ふたりの王女』での わたしの相手役 アルディス姫ですわ」 ──────────────────────────────────────── ギャグ顔でグラスを握りつぶす男性 (周囲に超びっくり顔の男性たち) バキ・・・ 「ええー!? アルディス姫 ! この少女が・・・!?」
右手前に青筋びっくり眼の頬汗男性たち マヤの背に手を添え奥の客に向かって語る亜弓 頬汗寄り目で口元にげんこつを当てたうつむきマヤ汗一滴 周りには男女の客 「信じられん 舞台ではたしか絶世の美少女だったはずだが・・・」 「紹介しますわ 北島マヤさん」 「もうひとりの『紅天女』」 「わたくしのライバルですの」
真っ黒バック 「姫川亜弓のライバル !」 「あの天才少女の・・・?」 ガヤガヤ ガヤ 「北島マヤ・・・」
濃い網掛けのコマで囁き交わす人々 上下の3コマまたぎで頬汗マヤのアップ 「『紅天女』だって?」 「あの演劇界幻の名作といわれる・・・」 (亜弓さん・・・) 「あの子がそうだって?」
真っ黒バック ザワザワ ──────────────────────────────────────── びっくり顔の大沢社長 青筋まどか 「お・・・!」 「あ・・・! あの子・・・ !」
水割りグラスと食べ物の皿を抱えた小野寺一 ふと・・・ 「亜弓くん・・・!」
真っ黒バックにびっくり顔の真澄 手にはワイングラス 後ろに他の人々
壁面のデコレーションフラワーから天井 (あたしがアカデミー芸術祭に参加できないことをしっていて) (なぜそんなことを・・・? 亜弓さん・・・) 「こちらがわたくしの」
亜弓の腕を引くマヤ 振り返る亜弓の横顔 「ま・・・まって・・・ !」 「まって 亜弓さん あたしはもうあなたのライバルなんかじゃ・・・」 「あたし芸術祭に参加できなくなったのよ」
亜弓 非難顔で・・・ アップ 「だからなに!? あきらめるつもりなの !?」
頬汗マヤの横顔アップ 「いいえ・・・!」 ──────────────────────────────────────── 真っ黒バックに立ち尽くし青筋頬汗で口元に両手を組んだマヤ やや前かがみの全身 「いいえ・・・!」 「あきらめたくはないわ どんなことがあっても・・・ !」 「1%でも可能性があれば・・・」 「可能性さえあれば・・・」
うっすら涙目マヤのアップ 「でも今のあたしにはもう可能性が・・・」
アオリでマヤを見下ろす亜弓 奥には客たち 「では その可能性をみつければ?」
「え?」 見開き涙目のマヤ 目元のアップ 濃い網掛けの背景に目元フラッシュ
颯爽と歩く亜弓の足 カッカッ
亜弓と片眼鏡の紳士 「全日本演劇協会の染谷理事長」 「おききしたいことがあるのですが」 「ほう なにかね亜弓さん」 「アカデミー芸術祭で全日本演劇協会が 出している賞についてお話しくださいませんか?」 ──────────────────────────────────────── 染谷理事長 口元にこぶしを添えてやや首をかしげつつ・・・ 「うむ」 「全日本演劇協会ではアカデミー芸術祭の主催者から贈られる賞とは別に」 オホン 「演劇部門にのみ賞を与えることになっている」
パーティー会場の俯瞰風景 食物の載ったテーブル周辺で会話する人々など・・・ 「芸術祭の期間中上演された芝居の中で演劇協会員の認めるもっとも優秀な舞台」 「もっとも優秀な役者にそれぞれ賞を贈呈しておる」 「それが全日本演劇協会演劇大賞と最優秀演技賞だ」
笑顔の亜弓の横顔 染谷理事長 ふと・・・ クス・・・ 「なんだね? 亜弓さん」
微笑み亜弓のアップ パーティー会場場面からの3コマまたぎでマヤの立ち姿 「芸術祭に期間中上演された舞台とおっしゃいましたが」 「芸術祭に参加を認められた芝居・・・・・・とはおっしゃいませんでしたわね」 ──────────────────────────────────────── 眼を見開いたマヤの大アップ アオリ気味のカット
! 頬汗額汗のびっくり理事長 アップ
あっけにとられた表情の客たち ザワ・・・
汗拭き理事長 背後に客たちの一群 横顔アップの微笑み亜弓 「そ・・・そりゃそうだが亜弓さん」 「今までの例からいって参加作品以外の芝居が賞の対象になったことは一度も・・・」 「通例ではないかもしれませんが全日本演劇協会賞の条項には 参加作品でなければならないとは書いてありませんわね」
自信ありげな亜弓 「ということは芸術祭の期間中上演された舞台は すべて全日本演劇協会賞の対象になるということですわね」 「理事長」 ──────────────────────────────────────── 真っ黒バックに青筋頬汗のマヤの横顔 後方に取り巻く人々 「そういえば数年前 たしかに一度アカデミー芸術祭参加作品ではない 芝居が賞の候補にのぼったことがあったな」 ガヤガヤ (亜弓さん・・・!) 「もっとも演劇協会員の関心が すべて参加作品の方にむいていたので賞にはならなかったが・・・」
詰め寄り顔の亜弓 「どうですか? 理事長」
汗一滴で困惑顔の理事長 「う・・・む」 「きみのいう通りだ・・・ !」
乗り出しマヤ 大口の頬汗赤ら顔で大アップ 「ほんとですか!?」 「ほんとにほんとですか !?」
理事長の胸倉をつかむ大口の頬汗赤ら顔のマヤの横顔 のけぞっておののく理事長 「芸術祭の期間中上演された芝居ならなんでも 全日本演劇協会賞の対象になるんですね !」 く くるしい・・・! 「あ・・・ああ その通りだ・・・・・・ !」 ──────────────────────────────────────── 見開き涙目のマヤ 震える手を口元にした大アップ (ああ・・・!!)
口元を押さえて眼を閉じるマヤの横顔 (真っ黒バックにフラッシュモノローグ) (よかった・・・!) (まだ希望が残されていた・・・・・・ !)
マイクスタンドのマイクをはずす手
右奥に汗二滴の額汗弱り顔の理事長 手前にマイクを構えた亜弓 かたわらにマヤ 「だ だが亜弓さん」 「きみのしっての通り これは参加作品以外のものが賞をとれるようなやさしいものでは・・・」 「みなさん!」 「ご紹介します! 北島マヤさんです !」 ──────────────────────────────────────── 亜弓とマヤを中心に周りを取り巻いた人々多数 俯瞰 「今年のはじめわたくしとともに日帝劇場で『ふたりの王女』のアルディス姫を演ったので 彼女を覚えてらっしゃる方も多いことでしょう」 「演劇界幻の名作といわれる『紅天女』のもうひとりの候補です」 「ご存知の方も多いかと思いますがかつて『奇跡の人』の ヘレン・ケラー役でアカデミー芸術祭助演女優賞をとりました」
客たち (濃い網掛けで) 「彼女が今度の芸術祭で主演女優賞か もしくは全日本演劇協会の最優秀演技賞を受賞すれば」 「わたくしと『紅天女』を競うことになっています」 ──────────────────────────────────────── 真っ黒バックに亜弓 横に亜弓を見る頬汗のマヤ 「おしくもこの秋のアカデミー芸術祭に参加はできないとききましたが 全日本演劇協会賞はこの芸術祭の期間中上演されるすべての芝居が賞の対象になるとのこと」 「『紅天女』は姫川亜弓に決定したとお考えの方も多いようですが あえてわたくしは来年の受賞発表まで待ちたいと思います」 (亜弓さん・・・!)
手前に取り巻く人たち(網掛け) 中央奥の壁ぎわに白抜きで喫煙真澄の立ち姿 ザワザワ
タバコを持つ右手を口にした真澄の正面アップ 左右にゆらめく紫煙 31巻167p-3 ※ ──────────────────────────────────────── 会場の客たち やや俯瞰 「アカデミー芸術祭実行委員のみなさま 並びに主催者のみなさま」 「また全日本演劇協会のみなさま」
きりりとした微笑み亜弓の大アップ キラキラ背景 「これからの演劇界発展のためにも門を広くあけ よりよい審査をしてくださるよう希望いたします」
真っ黒バックに立つ亜弓 マイクを腰まで下げた立ち姿 ややアオリ (フラッシュモノローグ) (亜弓さん・・・)
頬汗のうるうる震えマヤ 汗一滴 「ありがとう」 「ありがとう亜弓さん・・・」 「あたしジェーンを演るわ」 「どんなことになっても・・・」 ──────────────────────────────────────── 頬汗マヤの横顔 もやもや背景 「きっと」 「あなたにはずかしくないような・・・」
真っ黒バックに薄く微笑む亜弓 ややアオリ フ・・
マヤと亜弓 周囲に客たち ザワザワ ザワ・・
空白コマ もやもや背景 「全日本演劇協会賞だと?」 ワイワイ 「確かに芸術祭参加作品でなければならないという条項はないが・・・」 ザワザワ 「芸術祭の期間中上演されたすべての芝居ですって」 「しかし今までこんなことは・・・」
頬汗の強気顔まどか 「無駄なことを・・・ !」 フン 「全日本演劇協会賞が参加作品以外の芝居にとって どんなにむずかしいものか今に思い知るわ」 ──────────────────────────────────────── 汗一滴 しかめっ面の小野寺 「やれやれ まったく天才少女のプライドも困ったものだ」 「いくら正々堂々とあの子と『紅天女』を競いたいからといって」 「結果の分かっている勝負を先にのばしてもしかたあるまいに」
手前に小野寺 奥の壁にずっと同じポーズの真澄 「なあ 真澄くん」 「ん?」
真っ黒バックに佇む真澄 (同じポーズのまま) (1%の可能性・・・か・・・ !)
マイクスタンドにマイクを戻す亜弓 周囲に集まる亜弓シンパたち(頬汗や汗一、二滴で) 「亜弓さん どうしてあんな子をかまうの !?」 「あなたのライバルなのに」 「そうよ 亜弓お姉さま」 「全日本演劇協会賞のことはあたりまえのことをいっただけ」 「わかっていて誰も気づかなかっただけ 誰もいわなかっただけ」 「それをわたしが言葉にしただけのことよ」
亜弓の後ろから頬汗のシンパ マイクの角度を指先で微調整している亜弓の後姿 「でも あの子のために・・・」 「あの子のためじゃないわ !」
うつむいたままの亜弓のアップ 「わたしのためよ」 「1日も早くあの子と『紅天女』を競いたいだけ ──────────────────────────────────────── 目尻に汗一筋の亜弓の横顔アップ 額に八方放射の光 もやもや背景 「そして・・・」 「わたしの実力があの子の才能にかなうか勝負したいだけ・・・」
あっけにとられるシンパ 「え?」
その場に残る頬汗シンパを顧みることなく画面中央を奥に向かって歩き去る亜弓 コッコッコッ 「亜弓さん・・・」
プリンセスホテルと周囲の高層ビルをなめて夜空 アオリ (フラッシュモノローグ) (バンザーイ!) (全日本演劇協会賞・・・ !) ──────────────────────────────────────── 高層ビル群を背景に走るうれしげなマヤ (可能性が生まれた・・・ !) (『紅天女』への1%の可能性が・・・・・・ !)
同じページでマヤの笑顔の巨大アップ (ありがとう 亜弓さん・・・ !) (ありがとう・・・ !) ──────────────────────────────────────── 車椅子の後姿 「全日本演劇協会賞だと?」
豪華ソファに足を組んで腰掛けた真澄 「ええ お義父さん」
ガウンにひざ掛け姿の英介 (首から下の姿) 31巻33p−4 に縮小採用 「驚いたな その少女は本気でそれにかけるきなのか?」 「参加作品でもない芝居で・・・」 「もしそれで賞をとれば芸術大賞以上の価値を人は認めたことになるな」
車椅子の肘掛けの右手 「それで見込みはあるのか?」
タバコを口元に寄せた真澄 うつむき加減に・・・ 「ええ 1%の可能性が・・・」
奥にフキダシで顔だけ隠れた英介 手前に膝に置いたタバコを持つ右手 「おもしろい・・・! さすが月影千草の見込んだ少女だわい !」 (↑この!だけがなぜか斜体になっていない・・・(^_^;)・・・) 「『紅天女』候補だけのことはある」 (←このフキダシが英介の顔にかぶる・・・(^_^;)・・・) ははは 「姫川亜弓とはまったくタイプの違うその少女が どんな才能を秘めているのか見てみたいものだな」 ──────────────────────────────────────── 車椅子の背もたれからわずかに覗く英介の後ろ頭 「それでその芝居の上演は決まったのか・・・」
身体を傾けて脇のガラステーブルの灰皿に手を伸ばす真澄 「ええ 演出の黒沼龍三氏が上演予定の雨月会館の 劇場主オーナーを説得して製作資金を借り」 「無事上演できるようです」
真っ黒バックに真澄のアップ 額の前に八方放射の光 ★33p−3に横幅縮小、 「大沢演劇事務所はすでにひきはらい」 縦は拡大して採用 「稽古場も雨月会館に移したと聞いています」
[雨月会館] 29p−1 光と背景の放射線を加筆して採用 雨月会館の外観 ──────────────────────────────────────── 中央通路最前列に立つ黒沼 周囲の座席に役者たち 場内の俯瞰 「みんな 長いあいだ心配かけてすまなかった」 「雨月会館の劇場主オーナーが心よく我々の芝居の制作に協力してくれることになり」 「これからは上演までここで稽古をさせてもらうことになった」 「もっとも予算はぐっと少ないから芝居の成功はみんなの演技だけが頼りだ」 あははは・・・ 「おう! まかしてくれ先生 名優がついてるんだ !」 ←つるはし男・・・(^_^;) ──────────────────────────────────────── 天井に視線をやるマヤ アオリ (雨月会館・・・) (これからここで・・・) (紫のバラのひと・・・)
壁のレンガに触れる手 (よかった・・・) (この劇場を離れることにならなくて・・・)
空白コマ 「さ・・・ みんな発声だ !」 「舞台に上がれ!」
客席後方に黒沼の大口横顔のアップ 奥の舞台上に整列した役者たち 14p−2 「声がとどかんぞ!」 あーーーっ 「もっと後ろまできこえるよう大きな声を出せ !」 ──────────────────────────────────────── 大口のつるはし男 脇に婦長 手前に指差す黒沼の横顔 「狼少女だと!? 信じられん 神のいたずらとしか思えん !」 「どなるんじゃない !」 「呼吸法を教えただろ !」
婦長 「たしかにジェーンは今はおとなしくしていますわ」 「後足うしろあしだけで14歩も歩けますし 服をひきさいたりはしなくなりました」 「ほえることもうなることもしないかわりに口もききませんわ」 「今は頭のリボンもいやがりませんわ」 「だまって座らせておけばまるでお人形・・・!」
汗一滴の婦長と汗一滴のサクラコージ 壁ぎわに出番待ちの役者たち 「でも狼の心をもったお人形ですわ」 「ジェーンを人にあわせるのはどうか今はおよしになって・・・ ! スチュワートさま」 「せめてこのお人形に人間の心をふきこむまでは・・・ !」 「だめなんだよバトリー夫人 新聞にあんな記事が載ってしまったからにはね・・・ !」
「バトリー夫人 もっと前へ出て ! 重病患者を心配するように!」 汗一滴×2で 困り顔の婦長 「ジェーンを人にあわせるのはどうか今はおよしになって スチュワートさま」 ──────────────────────────────────────── 客席の大口黒沼 手前に厳しい表情の婦長 「スチュワートを無謀なことをする医者だと思え !」 「どうか 今はおよしになって ! スチュワートさま!」 「よし! その顔だ !」 「怒りの表情 それだ !」
バシ 不意に飛んできたスリッパが肩に当たってびっくりのバイク男 ビク
大口黒沼のアップ 「そうだ! それが召使いのアンにみつかったときのおまえの表情だ !」 「新聞記者 おまえは今開き直ったコソ泥だ ゆっくりしゃべれ !」
ジェーンがいると思われる方向にカメラを構えた態勢で後ろを見る滝汗薄笑いのバイク男 バイク男に向かってモップを振り上げている大口しかめっ面のハンバーガーショップ元店員 「いいじゃないか ちょっと写真をとるくらい」 「いいえ! さっさと帰らないとゴミと一緒にたたきだしてしまいますわよ !」 ──────────────────────────────────────── 通用口から駆け込んできた汗だく真っ赤のつるはし男 そっちへ顔を向ける黒沼 「先生 おっしゃる通り近所を50周してきました」 ほっほ ゼイ 「よし! ではさっきのセリフをやってみろ 神父」 「ええ!?」 「ジェーンが部屋の中を大暴れして騒ぎがおさまったあとだ」
黒沼の拍手する手 奥のイスの後ろにつるはし男 「きみは他のみんなとソファの後ろにかくれていた」 「そらっ ! でてこい!」 パァン ハアハア ゼイゼイ 「ス・・・ スチュワート」 「神はいつでも人間をためされる」
苦しげな弱り顔で青筋片目つむりのつるはし男のアップ 「きみも今ためされているのだ」 ゼイゼイ はあ 「こ・・・ここでなげだしてはいかん」 「ジェーンも我々と同じ神の子だ」 はあ 「きみが救うのだ・・・・・・」
うれしそうに手を叩く黒沼 手前に頬汗びっくり顔のマヤ アップ 「いいぞ! 神父」 「それでいいんだ」 ──────────────────────────────────────── 頬汗マヤの大アップ (すごい! みんなどんどんうまくなってくるわ・・・)
真っ黒バックの客席通路に佇む頬汗マヤ (フラッシュモノローグ) (全日本演劇協会 最優秀賞・・・) (1%の可能性・・・ !)
カチャ 最奥の場内入り口の観音開きの扉が開いた 31巻49p−最下段のコマ
車椅子の車輪 50p−1 キィ・・
扉から入ってきた車椅子と介添えの男 逆光のシルエット 50p−2 ギィー・
柱言葉 「紅天女」への1%の希望───全日本演劇協会賞を目指せ、マヤ !! 亜弓との競演は実現するのか !? ・・・でした。
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8号
眼は笑っていない ・・・(^_^;)
亜弓はまどかを見て いません・・・(^_^;)
この二人はコミックス 31巻 156p-3に並ん で登場します。
このびっくりマーク はマヤのアップの コマと2コマまたぎ です。 ・・・(^_^;)
マヤはのしかかりそう な勢いです。・・・(^_^;)
亜弓はもはや理事長 の話なんか聞いちゃあ いません・・・(^_^;)
※背広の模様を描き 替えて、全く違う シチュエーションに 転用しています。 また、モノローグを 追加する都合で 左側の紫煙の ゆらめきを消して もいます。
マヤのこのセリフは 四方に散らした配置 のフキダシでの構成 です ・・・(^0^)
タバコを持つ右手を 口にかぶせたポーズ のままで、軽く壁に もたれた態勢の真澄 ・・・(^_^;)
亜弓はシンパには 終始目もくれず・・・ といった感じ・・・(^_^;)
このページはこの 夜空に他のコマを 浮かべたような 構成です・・・(^_^;)
クッション3個・・(^0^;)
31巻33p−4に同じ 構図だがフキダシの 配置を描き替え収録 下のコマのセリフも 集約している。・(^_^;)
このページのセリフは コマ割りを圧縮の上で 31巻33p に全て収録 されています。・(^_^;)
★ 33p−3に真澄の 頭上部の髪とタバコの 煙を加筆して、コマ幅 縮小の上で移植採用 している (八方放射 の光の痕跡が髪に 残っている)・・・(^0^;)
← アン・・です(^。^;)
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ※ の解説(詳細)─────かなり後の『イサドラ !』の楽屋編を検証中にこのコマで描かれた 真澄の絵がコミックス31巻167p-3 に転用されていることが判明しました。 この号での真澄は縦横斜めの3種類の線を重ね引きして描かれた濃い色の背広だったのですが、 転用に当たってはホワイトで縦に線を引く形で縦線の細いストライプ模様に描き替えています。 コミックス31巻167p前後の他のコマの服は細い縦線のスクリーントーンが使われているのですが、 この転用部分は手書きによる修正の為、質感が明らかに違っています。 また、ネクタイは真っ白だったものに模様を描き加えています。 06/04/12 追記 ・・・(^_^;)
★ の解説(詳細)─────連載時原稿での真澄は横幅がページ幅一杯の横長のコマの 中央に額から唇の下までの天地で描かれていたのでした・・・(^_^;) コミックスに採用するに当たって前頭葉の左側空間にあった星型の光を消去したものの、右目の 横の髪にその線の痕跡が残っています。(斜めに髪を横切る線が光芒の延長線でした) また、元々は描かれていなかった額上部を加筆していますので髪の線の流れが乱れています。 顎のラインと後ろ髪も描き足しているのでやや線のつながりに乱れがあります。 耳の輪郭の一部は連載時原稿ではフキダシがかぶっていたのですが、コミックスではフキダシが 小さくなったので輪郭線の途中から線を加筆しています。 これらの乱れが目立たないように手とタバコの煙を加筆して微妙な部分に煙幕を作っています。
なんでこんな面倒な事をしたのでしょうね・・・ (?_?) いっそ描き直した方が早いように思うのですが・・・ (?_?) 私のみるところ、仕上がりの絵全体のバランスが悪いのでこの加筆はたぶん美内先生の筆では なく、アシスタントさんか編集者さんの仕事だったのではないかと思います。
連載時原稿の大幅なカットがある一方で、時折このように数コマだけ移植採用されるという事は、 元の原稿は細切れに切り刻んでいるのでしょうか? それとも部分コピーでしょうか?
なにはともあれこの号のアカデミー芸術祭の主催者のパーティーでの亜弓の活躍はばっさりと カットされました。 ・・・この理由の検証はまだまだ先のことになります・・・(^_^;)
そして31巻前半の採用ページ(コマ)はこのサイトの 狼少女ジェーン4 通し稽古編 以降に 記述の原稿からはほとんどが部分的なものだということが明らかになりました。
あまりにも細切れの採用コマが広範囲に散らばっているため、文字だけでは容易には伝わらない と思いますがそこはご勘弁を・・・(^o^;)
今回のエピソードで亜弓がプライドや勝負といった自分の心情やマヤを助けたいといった友情を 主な動機としてマヤを支援した訳ではない事が窺えるかと思います。
そして今回のパーティーでも亜弓に対する客の見方は“姫川監督と歌子さんの娘”ということに いまもって変わりがないことも明らかになりました。
しかしそれ以上にマヤの才能を自分が乗り越えねばならない壁として捉える認識が亜弓の 心の中にはすでに大きくなっており、もはやサラブレッド、親の七光り、といった世間の評判の 呪縛から逃れるための手段としての『紅天女』ではなくなってきているのですね。
『紅天女』を目指す亜弓の最初の動機にマヤコンプレックスが大きな影を落として、その心情が かなり変化してきていることが描かれた貴重なエピソードだったように思います。
コミックスではこの回がカットされたために亜弓のマヤコンプレックスが「紅天女の章」になって から突然激しくなったような印象になっていますが、実はこの時期にすでに亜弓の内心の動揺 は読者とシンパの少女たちに対しては大きな伏線として明かされていたのです。
そして真澄の『イサドラ !』初日の行動の動機もこの回に伏線が張られていましたね・・・(^_^;) 大都芸能社長の立場を忘れたかのように壁ぎわで固まることによって・・・
パーティー会場で堂々たる態度で述べた亜弓の発言の要旨はコミックスでは31巻22pからの 真澄の発した言葉に置き換えられました。
このため大幅なストーリーの短縮になり、結果としてマヤと真澄の関わりや黒沼の演劇人として の純粋さ、そして亜弓の気持ちといった微妙な心理描写は失われてしまったわけです。
しかし本来は山羊ひげは演劇協会の会長だったハズなのですが・・・(^o^;)
初登場時の絵の印象では山羊ひげは理事長で片眼鏡は会長だと見えましたが、亜弓との 会話場面から二人の肩書きが逆になり、さらにこの回のカットによってまた元に戻ったのです。
次回は、英介によるマヤの稽古場面の偵察のエピソードからです。 実は、この部分も14ページあったものですがコミックスでは大幅にカットされています。 では今回はこのへんで・・・ごきげんよう。 (^o^)/~
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31巻156p-3 にこの 二人の姿が描かれて いました。 ・・・(^o^;) 06/04/12 修正
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12/02/22 コンテンツ全体の修正 06/04/13 背景とレイアウトの変更
06/04/29 「 キエカナ」 へのリンク追加 06/05/08 屋台場面の注釈を追記 06/04/12 背景とレイアウトの変更 06/04/06 画像のレイアウト変更 06/04/12 記述の追加とレイアウトの修正 06/05/01 「 キエカナ」 へのリンク追加 06/04/12 レイアウトの変更 06/04/12 新事実の追記二件と全体修正 06/04/17 内部リンクの追加 06/04/14 注釈の追記と情景描写の修正 06/04/17 内部リンクの追加 06/05/01 コンテンツ名変更 06/06/03 若干の注釈追記と微修正 06/06/16 若干の解説・注釈の追記と修正 06/06/16 更新 記述の追記と修正 06/06/16 解説・注釈の追記と記述の修正 06/06/16 解説・注釈の追記と記述の修正
06/08/28 追記と修正 12/01/13 更新 記事の追記 06/06/07 カラーも含む画像2枚 up
新コンテンツ作成ごとに随時更新中 必要に応じて随時加筆 2012/02/21 新規サイトを仲間に追加 (^^) ついに作家デビュー !! 作家デビュー2作目 !! 最新のコンテンツ |